指揮者って不思議な職業ですよね。自分では一音も演奏しないにもかかわらず、オーケストラの演奏に対する最終的な責任を負うのが指揮者。指揮者は楽曲に対する自分のイメージや解釈をオーケストラの団員たちに伝えなければいけません。
本日は「アンドレア・バッティストーニの音楽会」。若きイタリアの俊英が、表情豊かに東京フィルハーモニー交響楽団を指揮してくれました。一曲目の「カヴァレリア・ルスティカーナ」では、バッティストーニは指揮棒を置いて両手で音楽の表情を指示し、オーケストラから情感豊かな音楽を紡ぎ出していました。バッティストーニのジェスチャーに、オーケストラが鋭敏に反応するのを感じていただけたでしょうか。これは指揮者とオーケストラの間に信頼関係があってこそ。
つい先日、バッティストーニがこの東京フィルの首席指揮者に就任すると発表されました。オーケストラの顔ともいえるポジションに、29歳の若い指揮者が抜擢されたことに驚きますが、引く手あまたの若い才能との密接な共同作業は、楽団に大きな実りをもたらしてくれることでしょう。経験がものをいう指揮者の世界では、40代でもまだ若手、70代、80代になってようやく巨匠と呼ばれることが一般的。しかし近年は、有望な若手指揮者に早くから重要なポジションを任せるという世界的なトレンドがうかがえます。まさにバッティストーニもそんな新世代の指揮者のひとり。これから大指揮者への道を歩んでいくのでしょう。
最後に演奏されたヴェルディの「運命の力」序曲はバッティストーニ得意の一曲。すごい迫力でしたよね。ダイナミックな指揮ぶりからもうかがえるように、バッティストーニの音楽はとても熱い音楽です。しかし、熱いだけではなく、細部まで音楽を彫琢する緻密さも併せ持っているところに、彼の非凡さを感じました。
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バッティストーニの音楽会
投稿日:2016年10月09日 09:30