今週は「弦を奏でる音楽家たち」。そうなんです、ヴァイオリンもギターも同じ弦楽器だったんですね。
たしかにどちらも弦を奏でているわけですが、ヴァイオリンとギターではずいぶん雰囲気やキャラクターが違います。ヴァイオリンというとコンサートホールのようなかしこまった空間が似合う楽器のように感じますが、ギターはぐっと身近な楽器といいましょうか、日常のなかの親密な空間で演奏される楽器というイメージがあります。
そんなキャラクターの違いもあってか、ギターとヴァイオリンがいっしょに演奏するようなクラシックの名曲はあまりありません。しかし、例外的にパガニーニはこのふたつの楽器が共演する曲をいくつも作曲しています。最後にお聴きいただいた「ヴァイオリンとギターのためのカンタービレ」もそのひとつ。
パガニーニといえば「悪魔に魂を売り渡した」とウワサされるほどの超絶技巧を持ったヴァイオリンの名手でした。その一方で、演奏旅行に出る際には常にギターを携えて、折に触れて弾いていたといいます。一説によればパガニーニは若き日の一時期、ギターを嗜む裕福な貴婦人の寵愛を受け、そこでギターを習得し、婦人のために作品を書いたとか。常に最高難度の技巧をアピールしなければならなかったヴァイオリンと異なり、パガニーニにとってギターとはリラックスして心からくつろぐための楽器だったのかもしれません。
今回はギターの持つ音色の多彩さにも目を見張りました。村治佳織さんと村治奏一さんがさまざまな奏法を披露してくれましたが、ギターってこんなに表現力の高い楽器だったんですね。アルペジオ奏法とかトレモロ奏法はいかにもギターらしい奏法ですが、ベリナティの「ジョンゴ」でのパーカッション奏法にはびっくりしました。弦楽器なのに、まるで打楽器のように演奏できるとは! しかもギター2台で共演。楽しかったですね。
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弦を奏でる音楽家たち
投稿日:2016年02月07日 09:30