吹奏楽で聴くレスピーギの「ローマの祭」。迫力がありましたよね。プロが演奏すると、こんなに精妙なサウンドが生まれてくるのかという驚きがありました。
本来、「ローマの祭」は大編成のオーケストラのために書かれた交響詩ですが、こうして吹奏楽で聴いてもまったく違和感がありません。クラシックの名曲を吹奏楽編曲で演奏する例は珍しくありませんが、これほどぴたりとハマった編曲はなかなかないのでは? 派手な演奏効果があって、しかも曲がいい。吹奏楽コンクールでの人気の高さにもうなずけます。
レスピーギには「ローマの松」「ローマの噴水」という交響詩もあります。こちらも吹奏楽版でも知られる人気曲ですよね。「ローマの祭」と合わせて「ローマ三部作」と呼ばれています。
レスピーギは1879年、イタリアのボローニャに生まれました。ローマの生まれじゃなかったんですね。幼少時からヴァイオリンとピアノを学び(どちらもかなり達者だったとか)、ロシアにわたって劇場でヴァイオリン奏者を務めるかたわら、管弦楽法の大家として知られるリムスキー=コルサコフに作曲を師事しました。レスピーギの華麗なオーケストレーションは師匠譲りなんでしょう。
1913年からはローマで作曲の教授を務めるようになり、この地で「ローマ三部作」を着想しました。
レスピーギは当時ほとんど無視されていたイタリアの古楽に深い関心を寄せていました。そして、古い音楽を素材に用いて自作を作曲することがしばしばありました。「リュートのための古風な舞曲とアリア」は、16~17世紀に書かれたリュート曲を20世紀のオーケストラ向けに編曲した作品ですし、組曲「鳥」もやはり古楽を素材に使っています。これらの作品には編曲者としてのレスピーギの手腕が発揮されています。
そんなレスピーギが今も生きていて、自分の作品が吹奏楽用に編曲されて日本で人気を呼んでいると知ったら? きっとずいぶん愉快に感じたのではないでしょうか。