4週にわたる番組2500回記念シリーズの第1弾は「ピアノ界のスーパースター ラン・ランと音楽家たち」。ラン・ランが幼少期の体験やピアニストになるまでの思い出を語ってくれましたが、どれも興味深いものばかりでした。演奏も実にエキサイティングでしたね。
少年時代から厳しい練習を積んできたラン・ランのようなピアニストでも、やはりマンガやアニメが大好きな普通の子供と同じ側面を持っていたという話には、ほっとさせられます。「トムとジェリー」の演奏シーンにすっかり魅了されて音楽が好きになったというラン・ランは、自伝でこんなふうに述べています。
「ピアノを弾くと、僕はただの少年ではなく、特別な何かになった。孫悟空やトランスフォーマーやトムとジェリーのように、ピアノは僕をもっと幸福な世界へと連れて行ってくれた」(『奇跡のピアニスト郎朗(ラン・ラン)自伝』より)。
成熟したラン・ランの現在の姿を見ても、どこかに少年のような音楽への喜びを持ち続けているのではないかという気がしてなりません。
中国で「勝利第一主義」を植え付けられたラン・ランは、アメリカに渡って価値観の転換を迫られます。カーティス音楽院の名教師ゲイリー・グラフマンは、「すべてのコンクールを制覇したい」と語るラン・ランに対して、「もうコンクールに出場する必要がない」と諭します。音楽はスポーツ競技のような順位を争うものではなく、人と心を通い合わせる詩のようなもの。そう教えるグラフマンとの出会いが、音楽家ラン・ランの重要な第一歩を後押ししたといえるでしょう。
ピアニストで指揮者のエッシェンバッハとの出会いもラン・ランに大きな影響を与えました。エッシェンバッハからラヴィニア音楽祭のオーディションに招かれたラン・ランは、求められるまま次々と演奏を続け、当初20分間の約束が2時間にもなってしまったといいます。時を忘れてラン・ランの演奏に耳を傾ける名匠エッシェンバッハ。想像するだけでも、すごい場面ですよね。
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2500回記念① ピアノ界のスーパースター ラン・ランと音楽家たち
投稿日:2017年02月05日 09:30