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ボサノヴァを愛する音楽家たち

投稿日:2016年07月03日 09:30

今週は「ボサノヴァを愛する音楽家たち」。ボサノヴァって、聴いていて本当にさわやかな気分になりますね。ボサノヴァにはぜんぜんなじみがないという方も、「イパネマの娘」や「マシュ・ケ・ナダ」といった名曲は必ずどこかで耳にしているのではないでしょうか。小野リサさんのささやくような歌声に、龍さんのヴァイオリンが加わった「イパネマの娘」がとても新鮮でした。
 新鮮といえば、津軽三味線奏者の上妻宏光さんと小野リサさんの共演にも驚きました。もともとは武器だったという素朴な民族楽器「ビリンバウ」と三味線に共通点が多いということからコラボレーションが実現したそうですが、不思議なほど違和感がありません。
 ボサノヴァの発声法について、小野リサさんは「恋人に語りかけるように」と説明してくれました。ボサノヴァに特徴的な軽くやさしい発声は、たとえばオペラのような強靭で輝かしい発声とは正反対といってよいでしょう。でも、オペラ・アリアの名曲も多くは恋人に向けて愛を歌っているんですよね。同じことを目的にしているのに、表現の方法がまるで違うところがなんともおもしろいと感じました。
 ポルトガル語のbossa nova をそのまま直訳すれば「新しいこぶ」。この言葉が生まれた当時のニュアンスを汲むと、「新しい天性、しゃれた癖」といった意味を表すそうです。ボサノヴァとは「ブラジルの踊りサンバに都会的なジャズの感覚をとりいれ、ジャズ・サンバともいわれる」(「新編音楽中辞典」より)。この音楽が誕生した20世紀前半のブラジルでは、おしゃれで都会的な音楽とみなされていたようです。ボサノヴァのおしゃれで都会的といったイメージは、21世紀の日本でもほとんど同じように共有されていますよね。これってスゴいことだと思いませんか。

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