オーケストラと共演する夢をかなえる「夢響」が今年も開催されます。今回はそのオーディションの模様をお届けしました。オーディションには書類選考により選ばれた約100名が参加。審査員はチェリストの宮田大さんと指揮者の田中祐子さんです。オーディションの結果、8名の合格者が選ばれました。
偶然ですが、フルートの小針梓さんとピッコロの小松有更さんが選んだのは、ハチャトゥリアン(ランパル編曲)のフルート協奏曲。この曲、原曲はヴァイオリン協奏曲ですが、名フルート奏者ランパルの編曲でフルート協奏曲としても親しまれています。フルートの小針さんは第1楽章、ピッコロの小松さんは第3楽章を演奏します。
ホルンの山路樹里さんが選んだのは、リヒャルト・シュトラウスのホルン協奏曲第1番。この曲は本当にカッコいいですよね。第1楽章の冒頭はしびれます。
歌の大塚敦司さんが選んだのはプッチーニの「だれも寝てはならぬ」。パヴァロッティに憧れての選曲ですが、よくわかります。パヴァロッティの「だれも寝てはならぬ」は最高でした。
チェロの松村皐生さんは小学3年生。フォーレの名曲「エレジー」を演奏してくれました。この大人びた選曲からしてすばらしいのですが、演奏からも熱い気持ちが伝わってきます。
オーボエの伊藤由貴さんは高校3年生。オーボエは難しい楽器の筆頭格に挙げられますが、「難しい楽器というイメージは持っていない」と語ってくれました。見事な音色でした。
ピアノの春木穏流さんは小学4年生。昨年は観客席で久保壮希さんの応援団を務め、今回は自身が「夢響」に参加することになりました。今までにない熱い展開です。
指揮でエントリーしたのは高校2年生の立花輝さん。審査の田中さんのリクエストにこたえて、ピアノでリストの超絶技巧練習曲第1番を弾いたことで、道が開けました。音源に合わせて指揮棒を振るだけではわからない、音楽への向き合い方が伝わったのでしょう。夢の実現まで、あとわずかです!
飯尾洋一(音楽ジャーナリスト)

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