今週は「ディズニーのプリンセス~アナと雪の女王の音楽会」。スクリーンに映された本編の映像に合わせて、注目の若手女性奏者たちが「アナと雪の女王」の名曲を演奏するという趣向でお届けしました。
ソリストにはモントリオール国際音楽コンクール第1位のヴァイオリニスト、辻彩奈さんをはじめとする豪華メンバーが集結。オーケストラのメンバーにもNHK交響楽団や東京交響楽団などで活躍する日本のトップレベルの奏者たちがそろいました。
こうして聴いてみると、「アナと雪の女王」がいかに名曲に恵まれた作品であるかを改めて痛感します。「レット・イット・ゴー~ありのままで~」でエルサが自身の強大な力を開放する場面は、ディズニーが描く新時代のプリンセス像を表しているかのよう。「雪だるまつくろう」で描かれるアナの孤独には胸が締めつけられます。アナの喜びとエルサの不安が交錯する「生まれてはじめて」、期待感に満ちた「とびら開けて」、オラフのユーモラスなキャラクターを体現する「あこがれの夏」、いずれも音楽と物語が緊密に絡み合っていて、しかも思わず口ずさみたくなる曲ばかりです。
作曲はクリステン・アンダーソン=ロペス、ロバート・ロペスのロペス夫妻。ふたりは「アナと雪の女王2」でも音楽を担当しています。この続編では、完成された脚本を読んでふたりが曲を作るのではなく、まずは監督のジェニファー・リーとクリス・バックと話し合いをしながらストーリーが作られ、ストーリーが変われば曲が変わり、曲が変わればストーリーも変わるような制作方法がとられたといいます。
こうしてできあがった新曲が、エルサが歌う「イントゥ・ジ・アンノウン~心のままに」。ディズニーに抜擢された中元みずきさんが、のびやかで芯のある声で歌い上げてくれました。新たな名曲の誕生です。
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ディズニーのプリンセス~アナと雪の女王の音楽会
音楽でスター・ウォーズを楽しむ休日
いよいよ映画「スター・ウォーズ」の新作がまもなく公開されます。42年にわたる全9部作の完結編ということで、心待ちにしている方も多いのではないでしょうか。
この「スター・ウォーズ」シリーズで大きな役割を果たしているのが、ジョン・ウィリアムズの音楽。彼の名曲の数々がなければ、「スター・ウォーズ」がこれほどの名作になることはなかったでしょう。今回は「スター・ウォーズ」の音楽に隠された秘密を、指揮者の原田慶太楼さんに教えていただきました。
原田さんがおっしゃっていたように、「スター・ウォーズ」はSF映画であるにもかかわらず、音楽はクラシック音楽の伝統に深く根差しています。特に顕著なのは、ワーグナーばりの「ライトモティーフ」(示導動機)の使い方。「ライトモティーフ」とは、特定のメロディがある人物や感情、現象などに結び付けられ、作品中にくりかえしあらわれるという手法を指します。ワーグナーはこの手法を代表作「ニーベルングの指環」などのオペラで活用して、音楽と物語を緊密に結びつけることに成功しました。
こういった「ライトモティーフ」が活用された作品では、必ずしも聴く人がどのメロディが何のテーマかを知っている必要はありません。知らなくても、半ば無意識に曲と情景が結び付いて、なんらかの感情を引き起こすものだと思います。「スター・ウォーズ」の「メイン・タイトル」を聴くときに、ここは「ルークのテーマ」、ここは「反乱軍のテーマ」だ、などと意識しなくても、音楽によってふさわしいイメージが喚起されるのと同じことです。
市川さんがお好きだという「フォースのテーマ」はホルンで奏でられていました。フォースとはごく限られた者が生まれ持つ超常的な力。このテーマがどこか物悲しく響くのは、フォースを持つ者に待ち構える過酷な宿命を暗示しているのでしょうか。
フィギュアスケートの音楽会2019
今週は毎年恒例の「フィギュアスケートの音楽会」。フィギュアスケートの演技映像に合わせて、独自の編曲が施された生演奏をお届けしました。
近年、フィギュアスケートで使用される音楽もずいぶん多様化してきたなと感じます。フィギュアスケートで歌詞が入った音楽が解禁されたのは2014/15シーズンから。それ以前は、たとえばトリノ五輪でプッチーニの「だれも寝てはならぬ」を使用した荒川静香さんのように、たとえオペラ・アリアを使う場合でも、ヴァイオリン・ソロ用に編曲された音源を使っていました。その頃に比べると、今は本当に自由になりました。
今回の楽曲のなかで、もっとも独自性が強いのは紀平梨花選手が使った「インターナショナル・エンジェル・オブ・ピース」でしょう。この曲は世界各地のさまざまな宗教音楽を組み合わせて編曲したというオリジナル曲。宗教の違いも時代も超越した音楽です。冒頭で登場するのは、中世ドイツの女子修道院長であり作曲家のヒルデガルト・フォン・ビンゲンの「おお、智慧の力よ」という曲。ヒルデガルトは作品が現在でも演奏される最古の女性作曲家と言えます。今回はメタル尺八や民族楽器を加えたマルチカルチャーなスタイルのアレンジで演奏されました。それにしてもメタル尺八、見た目に反してちゃんと尺八の音がするのにはびっくり。
楽器のおもしろさという点では、羽生結弦選手の使用曲「オリジン」のウィンド・マシーンもインパクト抜群。現代であれば、風の音のような効果音はシンセサイザーで作れるわけですが、これを生の音で実現するのがウィンド・マシーン。風や嵐を表現した音楽は多いので、鈴木優人さんがおっしゃっていたように、意外と歴史のある楽器(?)です。ワーグナーの「さまよえるオランダ人」や、リヒャルト・シュトラウスの「ドン・キホーテ」といった名曲にも使われていますので、耳にする機会は少なくありません。見ていると、自分もぐるぐると回したくなりますよね。