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ピアニスト・亀井聖矢がオーケストラの楽器を紹介する音楽会

投稿日:2026年02月07日 10:30

 今週は作曲活動にも力を入れるピアニスト、亀井聖矢さんをお招きしました。冒頭で亀井さんが演奏してくれたのは自作の「衝奏」。苦悩や葛藤のなかにも希望が垣間見えるような作品でした。名ピアニストが自作を演奏することは、クラシック音楽の伝統においてごく一般的なこと。亀井さんのお話にあったように「自作曲ならゼロ距離で表現できる」ところに魅力があります。
 いずれはオーケストラ曲も書いてみたいと語る亀井さんですが、今回はブリテンの「青少年のための管弦楽入門」でナレーター役を務めて、各楽器の特徴を紹介してくれました。オーケストラとの共演経験の豊富な亀井さんならではの言葉で語られていて、親しみが持てます。
 ブリテン(1913~1976)はイギリスを代表する20世紀の作曲家です。今年没後50年を迎え、音楽界での注目度が一段と高まっています。平和主義者として第2次世界大戦の犠牲者を悼んだ「戦争レクエイム」や、共同体から疎外される男の孤独を描いたオペラ「ピーター・グライムズ」、シェイクスピアの戯曲にもとづくオペラ「夏の夜の夢」など、数々の偉大な作品を残しました。
 今回の「青少年のための管弦楽入門」はもともと教育用に書かれた作品で、日本の学校教育でも鑑賞用教材として使われるなど、広く親しまれています。しかし、この作品の非凡なところは、単なる楽器紹介に終わっていないところでしょう。コンサートでナレーションなしで純粋な管弦楽曲として演奏されることもあります。実用性だけではなく、芸術性も高い名曲なのです。
 冒頭に演奏されるテーマは、同じイギリスの先輩作曲家パーセルの作品からの引用です。主題を変奏しながらオーケストラの各楽器のデモンストレーションがくりひろげられた後、壮大なフーガが始まります。終盤でパーセルの主題が重なり合う部分は鳥肌もの。田中祐子さん指揮の東京フィルが壮麗なクライマックスを築き上げました。

飯尾洋一(音楽ジャーナリスト)

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