今週は映画等でおなじみの名曲を吹奏楽アレンジでお楽しみいただきました。演奏は田中祐子さん指揮のシエナ・ウインド・オーケストラ。吹奏楽の魅力が最大限に発揮されたアレンジでお届けしました。
1曲目は映画「スター・ウォーズ」より「スター・ウォーズのテーマ」。ジョン・ウィリアムズが作曲した映画音楽の金字塔とでもいうべき名曲です。第1作の公開は1978年にまで遡りますので、もはや映画が生んだ「クラシック」と言ってもよいでしょう。原曲はオーケストラによる壮大な響きが特徴的ですが、今回の吹奏楽版で聴いても、やはりゴージャスでしたね。ホルン、トランペット、ユーフォニアム、テューバといった厚みのある金管楽器セクションは吹奏楽ならでは。田中祐子さんが吹奏楽の特徴として「音の立ち上がり」を挙げていたように、弦楽器中心のオーケストラとはまた違ったキレがあります。くっきりと鮮やかで、輝かしい「スター・ウォーズ」でした。
2曲目は映画「ニュー・シネマ・パラダイス」より「ニュー・シネマ・パラダイス〜愛のテーマ〜初恋」。モリコーネ親子による名曲です。この曲で主役になるのはサクソフォン。木管楽器と金管楽器の長所をあわせ持った万能楽器です。サクソフォンは標準的なオーケストラの編成には含まれていませんが、吹奏楽では重要な役割を果たします。ソロでもアンサンブルでも活躍してくれました。柔らかくまろやかな音色に魅了されます。
3曲目はドラマ「スパイ大作戦」より「スパイ大作戦のテーマ」。ラロ・シフリンの代表作のひとつで、「5拍子で書かれた名曲」としても知られています。今回のアレンジで活躍するのは低音楽器群。ファゴット、バスクラリネット、バリトンサックス、テューバ、コントラバスといった低音楽器が一角に集まって配置されていました。この低音楽器群が曲調に応じてさまざまな表情を生み出します。フルートやアルトサックスのソロも加わって、一段とスケールの大きな「スパイ大作戦」が鳴り響きました。
飯尾洋一(音楽ジャーナリスト)