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箏アーティスト・LEOの冒険する音楽会

投稿日:2023年07月08日 10:30

今週は箏アーティスト、LEOさんの演奏をグランドプリンスホテル高輪貴賓館からお届けしました。伝統楽器を用いながらも、既存の枠にとらわれない新しい発想で音楽と向き合うLEOさん。格調高い空間に斬新な音楽が鳴り響いていました。
 日本古謡「さくらさくら」では、エフェクターを用いた幻想的な表現が印象的。箏でこんなことができるとは。桜の花びらがゆらゆらと水面を漂っているようなイメージを思い浮かべましたが、みなさんはいかがでしたか。
 デリック・メイの「Strings of Life」は、3種の箏を用いたテクノ。メロディ担当の十三絃、ベースライン担当の十七絃、リフ担当の二十五絃を、エレクトロニクスを活用して、ひとりで演奏してくれました。新鮮できらびやかなサウンドがカッコよかったですよね。
 ティグラン・ハマシアン「ヴァーダヴァー」では、あえて箏の余韻を打ち消して演奏することで、箏に打楽器的な性格を持たせるというアイディアが効果的でした。20世紀の作曲家バルトークがピアノから打楽器的な性格を引き出した作品を書いたことを連想します。チェロ、ピアノ、箏の組合せから、シャープで透明感のあるサウンドが生み出されていました。
 坂本龍一「1919」は「調子悪く」演奏するミニマルミュージック。いったいどういう意味かと思ったら、日本音楽でいう「調子」のことだったんですね。チェロやピアノにあえて音程を合わせずに演奏するという趣旨です。アレンジはいま注目を集める若い作曲家、梅本佑利さん。オリジナルの「1919」ではレーニンのスピーチが用いられていますが、梅本さんはレーニンの代わりにアニメ声を使用。これはインパクトがありました。切迫感のあるリズムと混沌とした響きから、今の時代の空気を反映した「1919」が誕生したように思います。

飯尾洋一(音楽ジャーナリスト)

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