今週は10月に開催されたショパン国際ピアノコンクールで入賞を果たした反田恭平さんと小林愛実さんをお招きしました。反田恭平さんが第2位、小林愛実さんが第4位。これは快挙です! コンクールさながらの集中度で見事なショパンを披露してくれました。
今回のショパンコンクールでは、すべての演奏がインターネットで動画配信されました。審査員やメディアだけではなく、世界中の人々に開かれたコンクールとなったことで、いっそう注目度が上がったように思います。1次予選から2次予選、3次予選、さらにファイナルへと段階を進むにつれてコンテスタントがどんどん減っていく形式ですから、予選の結果発表のたびに、応援するピアニストが残っているかどうか、ドキドキしていた方も多いことでしょう。
反田さんは過度の緊張のあまり「3次予選で空回りしてしまった」とおっしゃっていたのに対して、小林さんは3次予選で前奏曲を弾いていたのが「いちばん楽しめた瞬間」と対照的な感想を述べていたのが印象的でした。
おふたりのここまでに至る道のりも対照的といっていいかもしれません。小林さんは小学生の頃にすでに「世界一YouTubeで視聴された日本人ピアニスト」として有名になり、早くも中学生でメジャーレーベルへのデビューを実現しました。ショパンコンクールには2度目の出場で、前回もファイナルに進出しています。少女時代の印象が強いので、何歳になっても「あの女の子がこんなに大きくなったなんて!」という感慨を抱かずにはいられません。一方、反田さんはデビュー後あっという間に活躍の場を広げ、実力と人気に対して国際コンクール歴が追い付いていない感がありました。今回めでたく第2位を獲得したのはふさわしい結果というほかありません。おふたりとも今後、日本を代表するピアニストとして目覚ましい活躍をくりひろげてくれることでしょう。
飯尾洋一(音楽ジャーナリスト)