今週は「ネマニャの音楽会」。ネマニャ・ラドゥロヴィチはクラシック音楽界では数少ないファーストネームで呼ばれるヴァイオリニストです。ラドゥロヴィチという姓が日本人になじみづらいという事情もありますが、それ以上に本人のオープンなキャラクターが親しまれているからこそでしょう。
ネマニャが日本で一躍注目を集めることになったのは、2007年の「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」への出演がきっかけだったと思います。ゴールデンウィークの有楽町を舞台に開催されるこの音楽祭には、毎年ヨーロッパで注目される新鋭アーティストが大勢招かれます。なかでもネマニャの存在感は別格。長髪をなびかせながら、まるでロックスターのような風貌でステージに登場するその姿は異彩を放っていました。以来、ネマニャはこの音楽祭にたびたび出演し、音楽祭公式アンバサダーを務めていた石丸幹二さんを魅了することになったのです。
今回の収録でも、舞台袖からネマニャが姿をあらわすと、客席からどよめきが起きました。ファッショナブルで見た目のインパクトも大きいのですが、驚きはそれだけにはとどまりません。切れ味鋭いテクニックはまさしく本格派。しかも彼の手にかかるとどんな作品にも生き生きとした表情が宿るところがすばらしいと思います。
「チャールダーシュ」の演奏では、オーケストラのメンバーを交えながら、足踏みをする場面がありました。こんな趣向もネマニャならでは。共演者たちといっしょになってひとつの音楽を作り出そうという姿勢が伝わってきます。
番組中でネマニャの少年時代の写真が紹介されていましたが、これは貴重なショットですよね。セルビア生まれのネマニャは14歳でフランスに渡っています。内戦を目の当たりにして祖国を離れた彼の激動の人生に、思いを馳せずにはいられません。
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ネマニャの音楽会
投稿日:2017年07月23日 10:01
コメント
情熱的なだけでなく、繊細で優しさを感じさせてくれる演奏で感動しました。選曲もネマニャさんの多様性を感じさせる、素晴らしい選曲だったと思います。