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新世代のイチ推し!新しいクラシックの音楽会2024秋

投稿日:2024年11月09日 10:30

 クラシック音楽は昔の作曲家が書いたものと思われがちですが、どんな名曲も書かれた時点では最新の音楽だったはず。現在も大勢の作曲家が活動しており、新作は日々生み出されています。今回はそんな「新しいクラシック音楽」と呼ぶべき作品を、廣津留すみれさんと多久潤一朗さんのおふたりに紹介していただきました。
 まず廣津留さんが演奏してくれたのは、マックス・リヒターがヴィヴァルディを再構築した「四季」より「冬」の第1楽章。マックス・リヒターはクラシックとエレクトロニカの融合から生まれた「ポスト・クラシカル」と呼ばれる分野の先駆的存在。「四季」のリコンポーズ(再作曲)で大きなムーブメントを作り出しました。7拍子になるところがおもしろかったですよね。
 続いて多久さんが選んだのは、イアン・クラークの「オレンジ色の夜明け」。イアン・クラークは現代のフルート奏者で、作曲家でもあります。アフリカの風景を題材にしたこの作品は、明快な曲想を持ちつつも、フルートの特殊奏法によって音色表現がぐっと拡大されています。斬新でありながらもアルカイックなムードが漂う曲でした。
 次の曲は廣津留さんによるアルヴォ・ペルトの「Darf ich…」。ペルトは現代の代表的な作曲家のひとり。簡潔さ、静寂、反復性を特徴とした作風で、その音楽には「祈り」の要素が色濃くにじんでいます。今回の曲はある種の問いかけを含んだ音楽で、聴く人がさまざまに解釈することができると思います。
 最後に演奏されたのは、多久さんが選んだニーノ・ロータの「フルートとハープのためのソナタ」第1楽章。清澄な響きによる優しい音楽でした。「ゴッドファーザー」や「ロミオとジュリエット」など映画音楽の分野であまりに有名なニーノ・ロータですが、本人は自身を映画音楽専門の作曲家とはみなさず、純音楽作品をいくつも残しています。ニーノ・ロータの映画音楽以外の作品は、これから再評価が進むのではないでしょうか。

飯尾洋一(音楽ジャーナリスト)

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