いよいよ今年もあとわずか。今回は「ドラマ」「アニメ」「スポーツ」「SNS」の4ジャンルで話題を呼んだ音楽を集めて一年を振り返ってみました。
ドラマ部門から選ばれたのは、連続テレビ小説「らんまん」の主題歌、あいみょんの「愛の花」。毎朝この曲を耳にしていたという方も多いことでしょう。フルートのソロとストリングスが中心となったアレンジで、音色は透明感があって爽やか。やさしくのびやかな旋律に淡いノスタルジーが漂っていました。
アニメ部門からはYOASOBIのAyase作詞作曲「アイドル」を。TVアニメ「【推しの子】」のオープニング主題歌として人気を博しました。これは納得の選曲でしょう。子どもたちの間でも大流行になりました。ボーカルに代わってサックスが活躍するアレンジでしたが、少し大人びたテイストも入っていて、カッコよかったですよね。
スポーツ部門は布袋寅泰作曲の「BATTLE WITHOUT HONOR OR HUMANITY」。もともとは映画「新・仁義なき戦い。」のテーマ曲として書かれた楽曲ですが、今年はテレビ朝日系「2023 World Baseball Classic」の中継で使われて、ふたたび脚光を浴びました。古坂大魔王さんのお話にもあったように、この曲は2003年に公開されたクエンティン・タランティーノ監督の映画「キル・ビル」のメインテーマにも使われて一世を風靡しました。これから戦いが始まる場面にぴったりの緊迫感があって、スポーツシーンにもよく似合います。オルガンとドラムをフィーチャーしたアレンジは、重厚でありながらもシャープで鮮烈。原曲のエレキギターとはまた違った迫力がありました。
おしまいは「新しい学校のリーダーズ」による「オトナブルー」。首振りダンスをまねして踊る動画投稿が大流行して、TikTokでは楽曲を使用した動画総再生回数が34億回を超えたとか。今の時代ならではの流行の形です。昭和歌謡風の曲調に応じたアコーディオンによるアレンジが、曲にぴたりとはまっていたと思います。
飯尾洋一(音楽ジャーナリスト)