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未来への扉!ニュースターの音楽会2023

投稿日:2023年12月02日 10:30

 今週は期待の若手音楽家をいち早くご紹介する新シリーズ企画「未来への扉!ニュースターの音楽会2023」をお届けしました。シリーズ第1弾は指揮者の出口大地さん。2021年にハチャトゥリアン国際コンクール指揮部門で優勝して一躍脚光を浴び、以来、各地のオーケストラに客演して好評を博しています。
 国際コンクールで優勝したこともさることながら、出口さんの場合は優勝後に東京フィルの定期公演に大抜擢されたことで、ぐっと注目度が高まったように思います。なにしろオーケストラにとって定期公演はもっとも重要な演奏会。東京フィルの定期公演のラインナップを見ると、実績豊富な世界的指揮者の名前がずらりと並んでいます。そんなラインナップのなかに出口大地さんの名前が入ったのですから、どれほどオーケストラから期待されているかわかろうというもの。
 出口さんは東京フィルのデビューにあたって、全曲ハチャトゥリアンの作品を並べたプログラムを用意しました。日本でそのようなプログラムを聴く機会はほとんどありません。人とは違ったプログラムで勝負したことも、出口さんへの関心を高めることにつながったことでしょう。東京フィルは若きマエストロを盛り立てようと熱演し、演奏会は大成功に終わりました。今回はその出口&東フィルコンビが番組に登場して、相性のよいところを披露してくれました。
 出口さんは左手に指揮棒を持つ点でも異彩を放っています。客席から見ても「あれ?なにかヘンだな」と感じるのでは。左手に指揮棒を持つ指揮者はかなりの少数派。世界を見渡してもパーヴォ・ベルグルンドとドナルド・ラニクルズくらいしか思いつきません。
 ハチャトゥリアンのエネルギッシュな「剣の舞」、暗い予感にあふれた「仮面舞踏会」のワルツ、どちらも情熱的で見事な演奏でした。おしまいはブラームスの交響曲第2番。これほど壮麗なフィナーレもありません。爽快でした。

飯尾洋一(音楽ジャーナリスト)

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