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なぜこの曲がクリスマスに流れているの?の音楽会

投稿日:2022年12月24日 10:30

12月に入ったと思ったら、あっという間にやってくるのがクリスマス。この時期はクリスマス・コンサートが開催されたり、クリスマス・アルバムがリリースされたり、音楽界も賑やかになります。今週はクリスマスによく耳にする名曲について、その由来をひも解いてみました。
 最初に演奏されたのはルロイ・アンダーソンの「そりすべり」。ルロイ・アンダーソンといえばポップス・オーケストラに欠かせない名曲を数多く生み出したアメリカ軽音楽の巨匠です。「そりすべり」は「トランペット吹きの休日」「フィドル・ファドル」「タイプライター」らと並ぶ代表作といってよいでしょう。この曲、クリスマス・シーズンになるとあちこちでBGMとして使われていますので、聴くと条件反射的にトナカイとサンタさんの姿が思い浮かびます。でも、園田マエストロのお話を聞いて目から鱗が落ちました。そうですよね、トナカイではなくて馬に決まっているではないですか……。ちゃんと馬の効果音まで使われているのですから!
 シューベルトの「アヴェ・マリア」も、よくクリスマス・コンサートの演目としてとりあげられる曲です。ところが歌詞の内容は宗教的なものではなく、欧米ではクリスマスとは無関係の曲なのだとか。日本独自の発想だったんですね。でもマエストロのお話にもあったように、大切な人の無事や健康を祈る音楽として、この時期に聴くのもよいのではないかと思います。今回は藤木大地さんのカウンターテナーでお届けいたしましたが、透明感のあるのびやかな声が本当にすばらしかったですよね。
 最後に演奏されたのはチャイコフスキーのバレエ音楽「くるみ割り人形」。この作品はクリスマス・イブに起きた不思議な出来事が描かれていますので、世界中の劇場でクリスマスの演目として上演されています。日本でも新国立劇場など、多くのバレエ団がこの時期に「くるみ割り人形」を上演しています。大人も子供も楽しめるクリスマスにぴったりの名作です。

飯尾洋一(音楽ジャーナリスト)

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