今週は先週に引き続き、ディズニー作品に登場するプリンセスたちの名曲を、日本の音楽界のプリンセス&プリンスたちによる演奏でお楽しみいただきました。曲ごとに異なる楽器編成でアレンジが施され、原曲からまた新たな魅力が引き出されていたと思います。
「アナと雪の女王2」の「イントゥ・ジ・アンノウン ~心のままに」は弦楽五重奏による室内楽編成での演奏。一般的な弦楽四重奏にコントラバスが加わった編成です。エレガントで透明感があって、でもパワフルなアレンジは、エルサのキャラクターにぴったりだったのでは。弦楽器のピッツィカート(弦を指ではじく奏法)も、エルサの内面の焦燥感を表すようで効果的でした。
「アナと雪の女王」の「レット・イット・ゴー 〜ありのままで〜」では高木綾子さんのフルートと長哲也さんのファゴットによるデュオにオーケストラが加わりました。澄み切ったフルートの音色と温かみのあるファゴットの音色の組合せで奏でられる「レット・イット・ゴー」はとてもドラマティック。風の音のようなフルートの特殊奏法もおもしろかったですよね。
「シンデレラ」の「夢はひそかに」では、堀内優里さんのヴァイオリンと石丸幹二さんのサクソフォンが共演。ヴァイオリンとサクソフォンというかなり珍しい組合せでしたが、なるほどこれはプリンセスとプリンスです。優雅で繊細なプリンセスに、やさしいプリンスが寄り添うといった雰囲気がありました。
おしまいの「美女と野獣」は「お姫様が集う舞踏会」というコンセプトだけあって華やか。角野隼斗さんのピアノ、新倉瞳さんのチェロも加わって6人のソリストと鈴木優人さん指揮の東京交響楽団が夢のような世界を描きます。イントロで白雪姫やエルサたちが帰ってきて、まるで交響曲のフィナーレを聴いているような気分になりました。
飯尾洋一(音楽ジャーナリスト)