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和楽器でビートルズに挑戦する音楽会

投稿日:2021年01月23日 10:30

今週はビートルズの名曲を和楽器による独自のアレンジでお楽しみいただきました。ビートルズが解散して昨年で50年。もうそんなになるんですね。半世紀を経ても色褪せない名曲は、もはや20世紀のクラシックと呼んでもいいかもしれません。
 「イエスタデイ」で用いられたのはメタル尺八でした。なぜ普通の尺八ではなくメタル尺八なのか、藤原道山さんの説明を聞いて納得。竹でできた尺八は一本一本が異なるのに対し、メタル尺八であれば5本で正確なハーモニーを生み出すことができます。編曲者のザック・ジンガーはニューヨーク在住の尺八奏者。実はサックスやクラリネット、フルートも演奏するというマルチ楽器奏者です。メタル尺八の音色はフルートやリコーダーを思わせつつも、やはり日本的な情緒があって、清涼感と幽玄さが一体になった独特のテイストを生み出していました。
 「オブ・ラ・ディ、オブ・ラ・ダ」は珍しい箏五重奏で。編曲は冷水乃栄流(ひやみず・のえる)さん。昨年の芥川也寸志サントリー作曲賞で最終候補に残るなど、近年注目を集める若手作曲家です。箏からこんなに軽やかで、色彩感豊かな響きが生まれてくるとは。
 「デイ・トリッパー」は笙と十七絃のためのアレンジ。日本人ならだれもが耳にしたことのある笙ですが、じっくりと曲を聴く機会はなかなかありません。十七絃との組合せからは意外にもモダンな音色が聞こえてきます。編曲は三宅一徳さん。カッコよかったですよね。
 「ヘイ・ジュード」は11人の和楽器奏者によるアンサンブル。こちらも編曲は三宅一徳さん。ほとんどオーケストラと言ってもよいくらいの厚みのある編成から、カラフルなサウンドが生み出されていました。いろいろな楽器がソロを務めるところは、バロック音楽の合奏協奏曲を連想させます。

飯尾洋一(音楽ジャーナリスト)

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