今週は高嶋ちさ子さんがお気に入りという、ディズニー映画に登場するさまざまなキャラクターたちの音楽をお届けしました。ディズニー映画は名曲の宝庫だと改めて感じます。
おなじみの「ミッキーマウス・マーチ」も弦楽器中心のアンサンブルで聴くとまた違ったテイストに。楽しく陽気なだけではなく、ミッキーマウスに少しエレガントさが加わったようです。
「ミッキーマウス・マーチ」はだれもが知る曲ですが、作曲者の名前を答えられる人はあまりいないでしょう。作曲者はジミー・ドッド。実はこの人、1955年からアメリカで放送された子供向けテレビ番組「ミッキーマウス・クラブ」の初代司会者です。ミッキーマウスの耳を頭に付けて、子供たちと一緒に歌をうたったりギターを弾いたりしていて、日本風に言えば「歌のお兄さん」のイメージに近いかもしれません。まさか自分が作った「ミッキーマウス・マーチ」が半世紀以上経っても世界中で演奏され続けるとは思ってもみなかったことでしょう。
「ライオン・キング」ではチェロの西方正輝さんが、なんとトランペットを演奏してくれました。西方さんはチェリストでもありトランぺッターでもあるという稀有な存在。まったく性格の異なる両方の楽器で活躍されています。
「塔の上のラプンツェル」より「誰にでも夢はある」、「アラジン」より「ホール・ニュー・ワールド」、「リトル・マーメイド」より「アンダー・ザ・シー」の3曲は、いずれもアラン・メンケンの作曲。もともとブロードウェイのミュージカルで活動していたアラン・メンケンを抜擢したことで、ディズニーの音楽は新時代を迎えました。どの曲も音楽の流れが自然で、しかも耳に残る名曲ばかり。「ホール・ニュー・ワールド」では、石丸さんが歌ではなくアルト・サックスで参加するという意外な場面も。サックスのアラジンとヴァイオリンのジャスミンという組合せが新鮮でした。
飯尾洋一(音楽ジャーナリスト)