今回は「和楽器女子たちの休日」。「ハーモニカ女子たちの休日」「低音楽器女子の休日」に続く「女子たちの休日」シリーズ第3弾をお届けしました。登場したのは箏の吉永真奈さん、尺八の辻本好美さん、鼓の安倍真結さん。本来、自国の文化ではあるのですが、こうしてお話をうかがうと、知らないことばかりで新鮮な感動がありました。西洋楽器との共通点もあれば、まったく違うところもあって興味が尽きません。
箏の裏側に穴があるなんて、ご存じでしたか。楽器の内部は空洞になっていて、そこで響いた音が穴から出てきます。だからマイクが穴のそばに置いてあったんですね。柱(じ)を動かして音程を変えるあたりも含めて、ついギターを連想してしまいます。エレガントな印象のある箏ですが、実は腕の筋力が必要だというお話にも驚きました。
尺八の指穴は表に4つ、裏に1つという説明がありました。これだけであんなにいろいろな音が出せるとは。形状だけを見れば学校の音楽の授業で習ったリコーダーと似ています。しかし、リコーダーのような歌口が付いていませんので、音を出すのはとても難しそう。石丸さん、一瞬、きれいな音が出ていました!
鼓でおもしろかったのは、音程について。大鼓が高い音、小鼓が低い音を出すというのが意外でした。西洋楽器では弦楽器でも管楽器でも小さな楽器ほど高い音、大きな楽器ほど低い音を出すものだと思いますが、鼓はちがうんですね。大鼓は熱で乾燥させて甲高い音を出すのに対し、小鼓は適度に湿らせなければならないといいますから、ずいぶんと湿度に対してデリケートな楽器だと感じます。
また、鼓は代々継承するものであって、値段が付けられないという点は、オールド・ヴァイオリンの名器を思わせます。あの「カン!」という突き抜けるような音色が気持ちよかったですね。
飯尾洋一(音楽ジャーナリスト)