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吹奏楽さきがけの地をめぐる音楽会

投稿日:2019年08月31日 10:30

今週は吹奏楽さきがけの地、鹿児島にまつわる多彩な音楽をお届けいたしました。歴史の重みを感じるような曲が多かったですね。
 霧島神宮の「天孫降臨霧島九面太鼓」は迫力満点。天孫降臨とは、アマテラスオオミカミの命を受けて、その孫であるニニギノミコトが高天原から日向国の高千穂峰に天降ったこと。九面にはこの地に降り立った神々の顔が表されています。そして、この九面の複製をかぶって、神々に扮して太鼓を打ち鳴らすのが九面太鼓。神話の世界がこれほど身近に感じられるのは霧島ならではでしょう。
 神々の様子を太鼓と舞で表現するという発想も興味深いところ。重量1トン以上にもなる巨大な和太鼓は、視覚的にもインパクトがあります。西洋音楽における神話といえば、ワーグナーの楽劇「ニーベルングの指環」をまっさきに思い出しますが、あちらの神々は荘厳な金管楽器の響きを生かした管弦楽と歌で表現されます。人智を超えた存在を音で表現するときに、どんな楽器を用いるのか。洋の東西のちがいがこんなところにもあらわれているのかもしれません。
 日本の吹奏楽が鹿児島から始まったというのは、一見意外な感じもしますが、歴史を聞けばなるほどと思いますよね。薩摩藩で結成された軍楽隊が、イギリスの軍楽隊長フェントンから指導を受けたことがはじまりだとか。フェントンは日本の国歌を作曲した人物としても知られています。初代「君が代」に曲を付けましたが、この曲は普及せず、後に現行の曲に差し替えられました。
 最後に演奏された「敷島艦行進曲」は瀬戸口藤吉の作曲。瀬戸口は鹿児島に生まれ、海軍軍楽師を務めた音楽家です。あの有名な「軍艦マーチ」の作曲者として名前を耳にする機会が多いと思います。「敷島艦行進曲」は戦艦「敷島」の竣工を記念して作られました。勇ましいばかりではなく、朗らかで、のどかな雰囲気すら漂っているのが印象的でした。

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