今週はフランスの作曲家サン=サーンスのバラエティに富んだ名曲をお楽しみいただきました。のびやかなメロディが心地よい「白鳥」から、エキゾチックな「バッカナール」まで、サン=サーンスの多面的な魅力が伝わったのではないでしょうか。
たいていの大作曲家は幼少時から並外れた楽才を示すものですが、3歳で作曲したというサン=サーンスの神童ぶりは際立っています。わずか10歳でピアノ協奏曲を演奏してデビューを果たし、アンコールには「ベートーヴェンのピアノ・ソナタ全曲のうちからどれでも一曲を暗譜で演奏しましょう」と申し出たといいます。少しイヤミなくらいの才能ですよね。
これだけ才能に恵まれていたのですから、サン=サーンスがフランスの音楽界をリードする存在になったのは必然です。当時、フランスで交響曲や協奏曲といえば、もっぱらベートーヴェンなどドイツ音楽が演奏されていたのに対し、サン=サーンスは自ら交響曲や協奏曲を書いて、この分野にフランスの伝統を築きあげました。交響曲第3番「オルガン付き」を聴いた作曲家グノーは、サン=サーンスを「フランスのベートーヴェン」と呼びました。
幼い頃から神童と騒がれたのはモーツァルトと同じですが、サン=サーンスとモーツァルトには一点、大きな違いがあります。モーツァルトは35歳で人生を終えたのに対して、サン=サーンスは86歳まで長生きをしました。
おかげで、若い頃は時代をリードする存在だったサン=サーンスも、晩年には保守派の代表とみなされるようになります。サン=サーンス自身、若い世代の音楽には共感できなかったようで、新時代の旗手ドビュッシーを敵視したり、ストラヴィンスキーの「春の祭典」の初演に立ち会って作品を酷評したり。天才の割に神格化されなかったのは、そんな晩年のふるまいが影響したのかもしれません。
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変幻自在な作曲家サン=サーンスの音楽会
投稿日:2018年08月11日 10:30
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