フランスのナントで始まった音楽祭「ラ・フォル・ジュルネ」の大きな特徴は、クラシック中心の音楽祭でありながらも、ジャンルの垣根を超えた音楽家たちが参加するところだと思います。民俗音楽系のバンドだったり、ジャズ・ミュージシャンだったり、どんなジャンルにも収められないようなパフォーマーだったり、毎回のテーマに応じていろいろなアーティストたちが登場して、驚きをもたらしてくれます。
音楽祭の創設者ルネ・マルタンさんは、音楽に対してとてもオープンな姿勢を持っています。マルタンさん自身、少年時代はジャズに夢中になり、ドラムを演奏するバンド少年でした。クラシック音楽に目覚めたのは、バルトークの弦楽四重奏曲を聴いたことがきっかけ。それからマルタンさんは、ナントの音楽院に進学し、やがてクラシックのコンサートをプロデュースすることになります。あるときU2のコンサートに出かけて何万人もの若者たちが熱狂しているのを目にして、「この人たちが集まるようなクラシックの音楽祭を作れないか」と思ったことが、ラ・フォル・ジュルネ誕生のきっかけになりました。
ラ・フォル・ジュルネに出演するジャンルの垣根を超えたアーティストたちには、なんらかの民族的伝統に立脚しながらも、そこに新しい表現を取り入れて、オリジナリティのある音楽を生み出している人が多いように思います。林英哲さんやクレズマー音楽で活躍するクラリネットのヨムなどはまさにその好例でしょう。もともとマルタンさんがクラシックに目覚めるきっかけとなった作曲家バルトークも、やはり故郷ハンガリーの民謡収集を通じて独創的な音楽語法を開拓した人ですから、こういったアーティストがラ・フォル・ジュルネに招かれるのは必然といえるかもしれません。
冬にナントを賑わせたラ・フォル・ジュルネは、この連休に東京へ。未知のアーティストとの出会いに心を揺さぶられた方も多いのではないでしょうか。
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ジャンルを超えた音楽祭を楽しむ休日
投稿日:2018年05月05日 10:30
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