今週は第34回出光音楽賞受賞者ガラコンサートの模様をお届けしました。今年の受賞者はヴァイオリンの金川真弓さん、チェロの北村陽さん、テノールの宮里直樹さんの3名。川瀬賢太郎さん指揮東京フィルとの共演で、見事な演奏と歌唱を披露してくれました。
金川真弓さんはドイツに生まれ、日本でヴァイオリンを始めた後、アメリカに渡り、現在はベルリンを拠点に活動する国際派。日本のオーケストラの定期公演にもたびたび招かれ、さまざまな協奏曲で会場からの喝采を浴びています。今回はコルンゴルトのヴァイオリン協奏曲を選曲。ウィーンに生まれ、神童として名を馳せたコルンゴルトは、ナチスの台頭に伴ってアメリカにわたり、ハリウッドで映画音楽の分野で成功を収めました。このヴァイオリン協奏曲にも映画で用いたテーマが用いられています。のびやかな音色による生命力あふれる演奏を堪能しました。
チェロの北村陽さんは少年時代より将来を嘱望された逸材で、21歳の若さながらもすでに多くのオーケストラと共演しています。今回、選んでくれたのはプロコフィエフの難曲、交響的協奏曲。この曲は作曲者最晩年の作品で、名チェリスト、ロストロポーヴィチとの協力関係から生まれました。交響的協奏曲という名前が示すように通常の協奏曲の枠を超える大規模な作品で、決して演奏機会の多い作品ではありませんが、こうして新世代の奏者が挑んでくれるのはうれしいですね。
テノールの宮里直樹さんは、現在の日本のオペラ界にとってなくてはならない存在といってもよいでしょう。輝かしくリリカルな声は、オペラの主役にぴったり。喜劇でも悲劇でも持ち味が発揮されます。ドニゼッティのオペラ「ランメルモールのルチア」より「わが祖先の墓よ」では、恋に絶望した青年が死を望む心情が歌われます。胸が張り裂けそうになるような迫真の歌唱でした。
飯尾洋一(音楽ジャーナリスト)

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