今回は世界で活躍する音楽家のみなさんに、今年を振り返りつつ、来年の抱負を語っていただきました。
ピアニストの角野隼斗さんはニューヨークからメッセージを届けてくれました。演奏曲はジョン・ケージの「プリペアド・ピアノのためのソナタとインターリュード」よりソナタ第5番。プリペアド・ピアノとは、弦にねじやゴムなど異物を装着して音を変化させたピアノのこと。今やこの楽器のための古典となったケージの名作に、角野さんが新風を吹き込んでくれました。
トランペット奏者の児玉隼人さんは今年大ブレイクを果たしました。現在はドイツに渡り、さらなる研鑽を積んでいます。演奏曲はアーノルドの金管五重奏曲第1番。10代の若いメンバーたちとの共演は、キレがあって軽快です。まろやかな音色もすばらしかったですね。
今年の音楽界で話題の人といえば、アメリカのピアニスト、エリック・ルーさんを挙げないわけにはいきません。2025年ショパン国際ピアノ・コンクールで優勝を果たして脚光を浴びました。今後、時代を代表する大ピアニストへの道を歩んでくれることでしょう。
ヴァイオリニストの葉加瀬太郎さんは、今年クライズラー&カンパニーでデビューして35周年。来年はソロデビュー30周年で、節目の年が続きます。曲は坂本龍一のandata。弦楽四重奏にインドネシアのガムラン、シンセサイザーを加えた実験的な演奏でした。
指揮者の山田和樹さんは、今年、世界最高峰の楽団であるベルリン・フィルにデビューを果たしました。来年はベルリン・ドイツ交響楽団の首席指揮者兼芸術監督に就任します。番組では未来オーケストラとの共演が大好評を博しました。オーケストラから気迫のこもったすごい音が出ていました。
おしまいは石丸幹二さんと井上芳雄さんの共演により、「エリザベート」より「闇が広がる」。これは熱かったですね。来年は「ミュージカルをミュージカルで説明する音楽会」の第2弾が予定されていますので、ご期待ください。
飯尾洋一(音楽ジャーナリスト)

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