今週は吉田兄弟、レ・フレール、村治佳織さんと村治奏一さんの3組のきょうだい奏者のみなさんにお集まりいただきました。
昔から音楽界にはきょうだいで活躍する例が少なくありません。モーツァルトが少年時代から神童としてもてはやされた話は有名ですが、モーツァルトの姉ナンネルもまた早くから楽才を発揮して、弟の共演者を務めていました。また、早熟の天才として知られるメンデルスゾーンにも才能豊かな姉ファニーがいました。女性が作曲家として活躍するのは困難な時代でしたので、弟のような名声を得ることはありませんでしたが、時代が違えばきょうだいそろって音楽史に名を残していたかもしれません。
そして、きょうだいにはやはり他人からはうかがい知れない特別な結びつきがあるものだなと、本日ご出演のみなさんのお話をうかがって改めて感じました。演奏が始まるとぴたりと息が合うのは、さすがきょうだいならではだと思います。
吉田兄弟のおふたりが演奏してくれたのは「モダン」。津軽三味線らしからぬ意外性のある曲名ですが、これは津軽じょんがら節を現代風にアレンジしたから「モダン」なのだとか。スタイリッシュで華やかなテイストがありましたよね。曲が進むにつれて次第に音楽が白熱する様子がとてもスリリングでした。
レ・フレールが演奏したのは「Joker」。こちらは吉田兄弟とは逆で、楽器が西洋で曲調が和風。連弾スタイルで表現される日本の祭りのイメージは新鮮です。演奏中にふたりのポジションがなんども入れ替わるおなじみのプレイスタイルで盛り上げてくれました。これは文句なしに楽しい!
村治佳織さんと村治奏一さんが演奏したのは童唄「ずいずいずっころばし」と「ふるさと」。2台のギターが生み出す温かくまろやかな響きが、曲のノスタルジーをいっそう際立たせていたように思います。
飯尾洋一(音楽ジャーナリスト)