昨年デビュー50周年を迎え、今なお精力的な活動を続ける森山良子さん。伸びやかな声がすばらしかったですよね。今回は「良子と幹二のおしゃべり音楽会」と題して、トークと音楽の両方をお楽しみいただきました。
最初の「星に願いを」では、小さなオルゴールを持って登場、このオルゴールの伴奏に導かれて森山さんと石丸さんがデュエットするという趣向でした。コンサートホールの広大な空間に、オルゴールのみの伴奏でふたりの声が響く。これはとても新鮮な体験です。
「私のお気に入り」はミュージカル「サウンド・オブ・ミュージック」の名曲。間奏で良子さんと指揮者の原田慶太楼さんがふたりで踊り出して、びっくり。「まるで踊るような指揮」を見ることはよくありますが、本当に踊る指揮者を目にする機会はめったにありません。原田慶太楼さんはアメリカを拠点とする新進気鋭の指揮者で、あちこちのオーケストラから引く手あまたの人気ぶり。ダンスも板についています。
「タイム・トゥ・セイ・グッバイ」は石丸さんとのデュエット。いつもは日本語歌唱の石丸さんですが、今回は良子さんとともに原語で歌ってくれました。ふたりの息がぴったり合っていましたよね。それにしても良子さんの発声は驚異的です。最後の高音がスーッと無理なく伸びてゆく様子は爽快の一語。
「聖者の行進」は、名ジャズ・プレイヤーたちへのリスペクトにあふれた前田憲男さんの編曲。良子さんのエネルギッシュな歌に、石丸さんがこの日のために購入したというテナーサックスや、有田純弘さんのバンジョー、オーケストラのメンバーたちのソロが加わって、ゴージャスなパフォーマンスがくりひろげられました。ルイ・アームストロング風のトランペット、ベニー・グッドマン風のクラリネットといったように次々と名プレイヤーたちの名前が登場します。こういった趣向はおもしろいですね。客席の興奮は最高潮に達しました。
新着記事
月別アーカイブ
- 2025年1月
- 2024年12月
- 2024年11月
- 2024年10月
- 2024年9月
- 2024年8月
- 2024年7月
- 2024年6月
- 2024年5月
- 2024年4月
- 2024年3月
- 2024年2月
- 2024年1月
- 2023年12月
- 2023年11月
- 2023年10月
- 2023年9月
- 2023年8月
- 2023年7月
- 2023年6月
- 2023年5月
- 2023年4月
- 2023年3月
- 2023年2月
- 2023年1月
- 2022年12月
- 2022年11月
- 2022年10月
- 2022年9月
- 2022年8月
- 2022年7月
- 2022年6月
- 2022年5月
- 2022年4月
- 2022年3月
- 2022年2月
- 2022年1月
- 2021年12月
- 2021年11月
- 2021年10月
- 2021年9月
- 2021年8月
- 2021年7月
- 2021年6月
- 2021年5月
- 2021年4月
- 2021年3月
- 2021年2月
- 2021年1月
- 2020年12月
- 2020年11月
- 2020年10月
- 2020年9月
- 2020年8月
- 2020年7月
- 2020年6月
- 2020年5月
- 2020年4月
- 2020年3月
- 2020年2月
- 2020年1月
- 2019年12月
- 2019年11月
- 2019年10月
- 2019年9月
- 2019年8月
- 2019年7月
- 2019年6月
- 2019年5月
- 2019年4月
- 2019年3月
- 2019年2月
- 2019年1月
- 2018年12月
- 2018年11月
- 2018年10月
- 2018年9月
- 2018年8月
- 2018年7月
- 2018年6月
- 2018年5月
- 2018年4月
- 2018年3月
- 2018年2月
- 2018年1月
- 2017年12月
- 2017年11月
- 2017年10月
- 2017年9月
- 2017年8月
- 2017年7月
- 2017年6月
- 2017年5月
- 2017年4月
- 2017年3月
- 2017年2月
- 2017年1月
- 2016年12月
- 2016年11月
- 2016年10月
- 2016年9月
- 2016年8月
- 2016年7月
- 2016年6月
- 2016年5月
- 2016年4月
- 2016年3月
- 2016年2月
- 2016年1月
- 2015年12月
- 2015年11月
- 2015年10月
良子と幹二のおしゃべり音楽会
高嶋ちさ子が絶賛!凄腕チェリストの音楽会
演奏家が有名になるきっかけはさまざま。これまでは有力国際コンクールで優秀な成績を収めるというのが典型でした。でも現代は個人が発信力を持つ時代。従来とはまったく違った方法で世界に向けてアピールすることもできます。
今やスーパースターとなった2CELLOSが、最初に脚光を浴びるきっかけは2011年のYouTubeへの投稿でした。クロアチア出身のルカ・スーリッチとステファン・ハウザーのふたりが留学先のロンドンで、マイケル・ジャクソンの「スムーズ・クリミナル」を2本のチェロのみで演奏した映像をYouTubeにアップしたところ、これが爆発的な人気を呼びました。2本のチェロのみという演奏形態は従来のクラシック音楽の世界にはないもの。「スムーズ・クリミナル」という選曲もよかったのでしょう。激しく情熱的なパフォーマンスは、チェロという楽器へのイメージを一新したといってもいいかもしれません。YouTubeの動画はどんどんとSNSを通じて拡散されました。本人たちもまさかこんなに拡散されるとは思っていなかったのでは?
もっとも、彼らはアイディアだけの一発勝負で有名になったわけではありません。ふたりとももともとチェロ奏者としてのしっかりとしたバックボーンを持っていたのです。ともに名門の音楽院に学び、ルカ・スーリッチは2009年にルトスワフスキ国際コンクールで優勝を果たしています。ステファン・ハウザーもおびただしい数のコンクールでの優勝経験者。もし、彼らが「スムーズ・クリミナル」をYouTubeに投稿しなかったとしても、クラシックのチェロ奏者として相応の成功は収めていたにちがいありません。
それにしても2CELLOSは、どんなジャンルの音楽を演奏しても絵になるのがいいですよね。「スムーズ・クリミナル」のような激しい曲だけではなく、「ハレルヤ」のようなしっとりとした曲を演奏しても、実に情感豊か。「ヴィヴァルディ・ストーム」ではイタリア・バロック音楽のダイナミズムが現代風に再現されていました。
クラシックの名曲を遊ぶ休日
今週はジャズ・ピアニストの山中千尋さんが、クラシックの名曲をひと味もふた味も違ったテイストにアレンジしてくれました。どれも予想外のアレンジばかりで、おもしろかったですよね。
「乙女の祈り」は原曲のサロン音楽的なムードが一掃されて、スリリングでエネルギッシュな曲に。19世紀の乙女が、21世紀の都会の女性に変身したかのよう。サン=サーンスの「白鳥」はまさかの五拍子に。すいすいと水面を泳ぐというよりは、活発自在に飛び回る白鳥の姿が目に浮かびます。
山中さんはビル・エヴァンスをモネ、セロニアス・モンクをピカソといったように、ジャズの巨匠を画家にたとえていました。これはわかりやすい説明では。ビル・エヴァンス風のシューベルトとか、セロニアス・モンク風のベートーヴェンとか、こんな弾き方ができるんですね。「エリーゼのために」はクール。ベートーヴェン本人が聴いたら、大喜びしてくれるかもしれません。
ジャズとクラシックには共通点もたくさんあります。例に挙げられていたのが協奏曲のカデンツァ。古典的な協奏曲では、よく第1楽章の終盤にソリストがオーケストラ抜きで独奏する見せ場としてカデンツァが用意されます。ここは自由に弾けばOK。本来、楽譜はありません。モーツァルトの時代には、もっぱらモーツァルト本人がピアノ協奏曲でソロを弾いていたので、アドリブで自由に弾けばよかったのです。このあたりはジャズっぽいですよね。でも、時代が進むにつれて、だんだんカデンツァはあらかじめ用意されるものに変質しました。作曲者本人が書くこともあれば、過去の大家が書いた楽譜を後世の演奏家が弾く場合もあります。
クラシックでは作曲と演奏の分業化がすっかり進んでしまいましたが、ときにはこんな遊び心にあふれたアレンジに浸ってみるのもよいもの。新鮮な感動がありました。
オーケストラと夢をかなえる音楽会~夢響 後編
3週にわたってお届けしたオーケストラと共演する夢をかなえる視聴者参加企画「夢響」。今回はオーディションで選ばれた10組による「夢のコンサート」の後編をお届けいたしました。前編に続いて、今回も驚きの連続です。みなさん、リハーサルなしで本物のオーケストラと共演しているのに、どうしてあんなにリラックスして力を発揮できてしまうんでしょうか。実際には緊張しているのかもしれませんが、それを感じさせない堂々たる演奏ぶりに目を見張ります。
最初に登場したのは小学3年生の伊藤茉央さん。かわいらしいドレス姿に癒されますが、話しぶりがあまりにしっかりしていてびっくり。演奏も軽快で、本当に楽しそうでしたね。
白樫真由美さんは難曲として知られる「魔笛」の「夜の女王のアリア」に挑戦。コロラトゥーラという高音の技巧が求められる曲で、もう信じられないような快挙です。一瞬、コンサートホールにオペラ劇場の興奮が満たされました。
飯島香織さんはまさに草笛の伝道師。草笛とオーケストラの共演なんて、想像もつきませんでした。曲はオランダの作曲家ヤコブ・ファン・エイクの「イギリスのナイチンゲール」。リコーダーでよく演奏される古楽の人気曲ですが、同じ笛でもまさか草笛で演奏するとは!
的場悟史さんはサクソフォンで真島俊夫作曲の「シーガル」を演奏してくれました。心にしみる情感豊かな演奏で、みずみずしい音色もとても印象に残りました。余韻を味わいたくなる演奏といいましょうか。
ウェーバーのファゴット協奏曲を吹いたのは、高校2年生の松本拓也さん。さわやかにファゴットの魅力を伝えてくれました。楽器のすばらしさを知ってもらいたいという「ファゴット愛」に感服します。演奏も実に見事。音楽の喜びにあふれたウェーバーでしたよね。
みなさんの音楽にかける情熱に胸が熱くなりました。
オーケストラと夢をかなえる音楽会~夢響 前編
オーケストラと共演する夢をかなえる視聴者参加企画「夢響」、今回は前編として、10組中5組の方々がオーケストラと共演する夢を実現しました。
みなさん、オーケストラと共演するのはこれが初めて。指揮の藤岡さんもおっしゃっていましたが、みなさんぶっつけ本番で共演に臨んでいます。それなのに、全員、ちゃんと共演できているのがすごいと思いませんか。普通だったら、舞台上で緊張して、頭が真っ白になりそうなもの。でもだれひとりパニックにならずに、オーケストラといっしょに音楽を奏でていたのに本当に驚きました。
最初の田久保萌夏さんはチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番。演奏している表情がにこやかで、すばらしかったです。お父さんの感激ぶりにもジンときました。
葛貫恵美子さんはオカリナという意外な楽器でオーケストラと共演。コンサートホールでオカリナを聴く機会はめったにあるものではありません。素朴な音色に歌心が満ちあふれていました。
実山隼大さんは9歳。「にじ」を歌ってくれました。ピュアな歌声はもちろんのこと、話しぶりがあまりにしっかりしているのにびっくり。きっと将来ミュージカルの分野で活躍してくれることでしょう。
はるばる五島列島からやって来た15歳の保家廉太郎さんは、まさかのダンボールで共演。もう発想がぶっ飛んでいます。そして、生まれて初めて生のオーケストラを見たにもかかわらず、あの落ち着き振り。参りました。
武富浩一郎さんと武富郁弥さんは指揮とサクソフォンでの親子共演。唯一、指揮でオーディションを通過した武富さんですが、プロのオーケストラを相手に、しかも難曲である協奏曲の伴奏を指揮するという、大変なチャレンジを成功させました。ほかの方々と違って、プロの指揮者なしで演奏する難しさがあったはずですが、お父さんも息子さんも実に見事。特大のブラボーを贈りたいと思います。
オーケストラと夢をかなえる音楽会~夢響 オーディション編
憧れのオーケストラと共演する願いをかなえるのが、今回の視聴者参加企画「オーケストラと夢をかなえる音楽会『夢響』」。音楽のジャンルは問わず、どんな楽器でも、歌や指揮でもオーケー。北海道、東京、兵庫、福岡の全国4会場でオーディションが行なわれ、327組の参加者が集いました。
たとえ音楽を専門的に学ぶ方であっても、本物のオーケストラと共演できる機会はめったにありません。よく音楽コンクールでは、予選段階まではソロで演奏し、ファイナルだけはオーケストラと共演できるといった方式が採用されていますが、上野耕平さんのようにコンクールで生まれて初めてオーケストラと共演する例は決して珍しくはないのです。もし、だれにでもオーケストラと共演できるチャンスがあるとしたら、いったいどんな方々が集まって、どんな音楽を聴かせてくれるのか。もしかすると想像もつかないようなパフォーマンスが披露されるのではないか。「夢響」はそんな期待から出発した音楽会です。
今回はそのオーディション編。予想以上に幅広い参加者の方々から応募がありました。可能性に満ちあふれた未来の音楽家から、アマチュアとして独自の道を歩む方まで。年齢層もさまざま。ピアノやヴァイオリンから、草笛やオカリナ、段ボール箱(!)といった、通常はオーケストラと共演しないような楽器まで登場して、オーディション段階からすでに驚きの連続でした。
各地の審査員長は反田恭平さん、藤原道山さん、上野耕平さんが務めてくれました。審査基準は人の心を動かす「熱意」。コンクールのような技術的な巧拙を競うオーディションではありませんが、なかにはとてもレベルの高い方も。「夢響」本番に進めるのはわずか10組のみ。人数を絞り込むのは大変だったと思います。通過者以外にも、もっと聴きたいと思わせる方が何人もいました。
次回はいよいよ、ステージでオーケストラとともに共演する夢が実現します!
絶滅危惧楽器 バンドネオンの音楽会
バンドネオンという楽器、みなさんはご存知でしたか。バンドネオンが日本で知られるようになったのは、90年代にアストル・ピアソラの音楽がブームになったことが大きいと思います。アルゼンチンのバンドネオン奏者であり作曲家でもあるピアソラは、タンゴをベースにジャズやクラシックなどさまざまな音楽のスタイルを融合させて、まったく独自の音楽を生み出しました。
ピアソラ本人は1992年に亡くなりますが、ピアソラが作曲した名曲はジャンルを超越した広がりを見せます。世界最高峰のヴァイオリニスト、ギドン・クレーメルがピアソラのアルバムをリリースしたこともあって、ピアソラの作品はクラシック音楽界でも一気に広まることになりました。もともとピアソラはパリで名教師ナディア・ブーランジェに師事して、アカデミックなクラシック音楽の教育を受けようとした時期もあったのですが、そのブーランジェがピアソラにタンゴの可能性を気づかせてくれたといいます。
そんなピアソラ・ブームとともにバンドネオンの音色は日本の音楽ファンにも親しまれるようになりました。しかし小松亮太さんの説明にあったように、この楽器はボタン配列に規則性がなく、しかも蛇腹を引いたときと押したときで違う音が出るなど、習得は容易ではありません。おまけに楽器自体が稀少なのですから、これほど入門しづらい楽器もないでしょう。
そんな珍しい楽器のバンドネオンですが、今回は6人ものバンドネオン奏者が一堂に会して「ラ・クンパルシータ」を演奏してくれました。日本でここまでバンドネオンが活発に演奏されているのは、いち早く活動を始めた小松亮太さんの功績あってこそ。ドイツで生まれたバンドネオンが、アルゼンチンに渡ってピアソラと出会い、今は日本で若い奏者たちに演奏されている。楽器の運命って、わからないものですね。
大作曲家が愛したピアノを知る休日
今週は小川加恵さんと仲道祐子さんをお招きして、過去の大作曲家たちが使っていた当時のピアノ「フォルテピアノ」の魅力と特徴をお伝えいたしました。モーツァルトやショパンが使っていたピアノは、現代のピアノとはずいぶん違っていたんですね。
まず、なによりも音色が違います。現代のピアノに比べると、ずっと軽やかで、キラキラと輝くような音色が響きます。仲道さんが鍵盤は浅くて軽いとおっしゃっていましたが、細かい音符の連続もさらりと自然に弾けてしまうようです。なるほど、こういう楽器があったから、モーツァルトやショパンの傑作が生まれたのだと納得できました。もし当時に現代のピアノが存在していたら、モーツァルトもショパンも別の作風で曲を書いていたかもしれませんね。
ピアノはクラシック音楽の歴史とともに大きく変化を遂げてきた楽器です。バッハのようなバロック時代の作曲家たちは、フォルテピアノのさらに前身のチェンバロ等の鍵盤楽器を用いていました。モーツァルト、ハイドン、ベートーヴェンらの時代に、フォルテピアノはどんどん改良され、音域も広くなり、それにともなって作曲家たちが書く作品も変わってきました。
近年のクラシック音楽界では、作曲家が存命中だった頃の楽器や奏法を用いて、作品本来の姿を尊重しようという考え方が広まりつつあります。今秋ポーランドでは第1回国際ショパンピリオド楽器コンクールが開かれました。これはあの有名なショパン国際コンクールと同一の組織が開催しているコンクールで、参加者が弾くのはピリオド楽器、つまり当時の楽器のみ。第2位に日本人の川口成彦さんが入賞してニュースになりました。
古い時代の音楽を演奏するにはフォルテピアノはすばらしい楽器です。ただし、フォルテピアノは現代のピアノのようなパワフルな音を出すことができません。サロンには適していても、コンサートホールのような大空間を音で満たすのは無理な話。次第に人々はより強く、より輝かしい音を出す楽器を求めるようになり、ピアノは現在の形へと姿を変えていったのです。
巨匠VS吹奏楽部の音楽会2018
日本を代表するトップ・ミュージシャンたちと名門吹奏楽部が共演する「巨匠VS吹奏楽部の音楽会」。昨年に続いて、今年もフレッシュで生き生きとした演奏を聴くことができました。憧れのミュージシャンを前にして、実力を100%以上出し切る高校生たちの姿が眩しかったです。
トロンボーンの中川英二郎さんは、柏市立柏高等学校とともにスパークのトロンボーン協奏曲を演奏。スパークは吹奏楽で人気のイギリスの作曲家です。軽快なラテンのリズムに乗って、はじけるような明るいサウンドが聞こえてきました。中川さんのソロと高校生たちのトロンボーンの掛け合いが楽しかったですよね。これぞ協奏曲の醍醐味といっていいでしょう。
オリタノボッタさんは東海大学付属高輪台高等学校と自作の「ティアーズ・オブ・ムーン」を共演しました。バラードをいかに情感豊かに演奏するかがテーマ。心が折れそうになりながらも前向きにがんばる女性を応援する気持ちが表現されているというこの曲、高校生にとっては少し背伸びが必要な音楽のようにも思ったのですが、本番の演奏は陰影に富んでいて、音楽の自然な流れが心地よく感じられました。
抜けるようなハイトーンでおなじみのエリック・ミヤシロさんは、習志野市立習志野高等学校とウェザーリポートのヒット曲、「バードランド」を演奏してくれました。エリックさんの「人が多くなるほどリズムの明確さがぼやける」という指摘には納得。ドラムの重要性がよくわかります。この課題にこたえて、高校生たちは大編成にもかかわらずキレのある演奏を実現していました。聴いていて楽しい気分になります。
それにしても、高校生のみなさんが舞台上でしっかりと話せるのにはびっくり。客席にはお客さんがいっぱい入っているのですが、緊張しないんでしょうか。みんな、すごい!
吹奏楽で聴くユーミンの音楽会
今週は「吹奏楽で聴くユーミンの音楽会」。ユーミンの名曲をリアルタイムで経験した世代は懐かしさでいっぱいになったのではないでしょうか。
でも、ユーミンの曲って、時代を超えて伝わっているんですよね。ご本人がサプライズで登場しましたが、舞台上の高校生たちの感激ぶりは半端ではありませんでした。もちろん、客席にとってもこれはビッグ・サプライズ。突然のユーミンの登場に客席はざわめきが収まらないといった様子で、収録の間じゅう、ずっと普段とは違った特別な興奮があったように思います。同じホールの客席でユーミンが演奏を聴いているというシチュエーションは、なかなか経験できるものではありません。
習志野市立習志野高等学校、東海大学付属高輪台高等学校、柏市立柏高等学校は、いずれも吹奏楽部の名門校。さすがにみなさん演奏がうまい! アンサンブルとしてもとてもしっかりしていますし、ソロの部分も見事で、高校生でこれだけできるんだという感動がありました。
今回のように本来は歌詞のついた曲を、吹奏楽で表現するのはなかなか難しいことだと思うのですが、高校生たちが原曲の歌詞に込められた思いを演奏で表現しようと努めていたのが印象的でした。なかには大人の失恋のようなテーマを扱った曲もあるわけですが、高校生なりの表現意欲が伝わってくるのがほほえましかったですよね。柏市立柏高等学校のように、振り付けを活用して視覚的な表現も盛り込むというアイディアも秀逸でした。なによりステージが楽しくなるのがいいですね。
最後の「ルージュの伝言」は3校による合同演奏。160名という大編成の吹奏楽が実現しました。これも振り付け入りの演奏で、高校生たちの弾けっぷりには圧倒されるばかり。ユーミンの「ポップスは聴き手に届いて完成するもの」という言葉通りの光景で、音楽の力を実感せずにはいられませんでした。