今週は番組開始55周年を記念した「題名のない音楽会」令和スペシャルコンサートの第3回をお送りいたしました。テーマとなったのはゲームやJポップなど、日本のポップカルチャー。さまざまなポップカルチャー由来の楽曲が、豪華アーティスト陣によって演奏されました。
一曲目は植松伸夫さん作曲の『ファイナル・ファンタジーVIII』より「Eyes On Me」。ゲームソフトのテーマ曲として作られながらも、曲のCDが50万枚を超える大ヒットを記録したという名曲です。これを森麻季さんのソプラノ、村治佳織さんのギターを中心に、若い世代を代表する日本の名手たちが共演しました。ソプラノとギターによる情感豊かな演奏が、ノスタルジーを喚起します。
よく、オペラなどでは、劇中のアリアや序曲が本体のストーリーを離れて、単独で演奏されるようになることがあります。たとえばマスネの「タイスの瞑想曲」とか、ヘンデルの「オンブラ・マイ・フ」のように、本編から切り離されて、特定の楽曲が演奏され続けるケースも珍しくはありません。同じようにゲームの音楽が、楽曲としてずっと残ることも十分にありうるのではないでしょうか。
二曲目は3人の女性ヴァイオリニストたちによるパフュームの「ポリリズム」。川久保賜紀、南紫音、小林美樹という超強力な三重奏に山田和樹指揮55周年祝祭オーケストラが加わって、上質のアンサンブルが実現しました。弦楽器の潤い豊かでしなやかな響きが絶品! こんなに耽美な「ポリリズム」がありうるとは。
最後は山下達郎作曲の「アトムの子」。手塚治虫へのトリビュートソングとして作られた曲です。こちらは西洋楽器と日本楽器が融合した、スター勢揃いの大合奏で。日本的でありながらも、国籍を超えた音楽になっていました。名手たちが次々とソロを聴かせてくれて、楽しかったですね。
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題名のない音楽会55周年 令和スペシャルコンサート(3)
題名のない音楽会55周年 令和スペシャルコンサート
今週は番組開始55周年を記念した「題名のない音楽会」スペシャルコンサートの第2回をお届けしました。和洋それぞれの楽曲が日本を代表する名手たちによって演奏されました。
一曲目はヴィヴァルディの有名な「四季」のメドレー。ヴィヴァルディがヴェネツィアの四季折々の情景を描写した協奏曲集です。本来は「春夏秋冬」の順で演奏されますが、今回は萩森英明さんの巧みな編曲によって、「夏」の嵐から始まり、豊穣の「秋」、寂寥とした「冬」を経て、最後は晴れやかな「春」で終わるという趣向になっていました。
本来、この曲ではひとりのヴァイオリン奏者がソロを務めますが、なにしろ今回の「55周年祝祭オーケストラ」はメンバーのひとりひとりが主役級のソリストばかり。ヴァイオリンだけでも川久保賜紀さん、小林美樹さん、周防亮介さん、成田達輝さん、南紫音さん、山根一仁さん、米元響子さんといった超強力メンバーがそろっています。とてもだれかひとりをソロに選ぶことなどできません。そこで、次々とソリストが交代しながら演奏するというスタイルになりました。
それにしてもこの「55周年祝祭オーケストラ」が作り出す響きの美しさと来たら! あれだけの潤いと艶やかさ、精緻さをもったサウンドはめったに耳にできるものではありません。
二曲目の「伝統から革新への序破急」では、邦楽器の分野で独自の道を切り開くアーティストたちが集まって、これまでにないアンサンブルを実現させました。リハーサルは談論風発といった様子。伝統的書法による「序」、現代的な発想による楽器法や奏法が用いられた「破」、祝祭感あふれる「急」からなる三部構成で、全体を通して聴くとひとつの大きな物語が浮かび上がってくるような作品になっていました。
オーケストラと夢をかなえる音楽会~夢響2019 夢のあとさき編
「オーケストラと夢をかなえる音楽会~夢響2019」、今年も個性豊かな参加者たちがオーケストラとの共演という夢を果たしました。全749組の応募から選ばれたのは6組のみ。昨年も感じたのですが、リハーサルがない一発勝負にもかかわらず、みなさん本当に舞台を楽しんでいらっしゃるんですよね。満員の客席を前にステージに立って、生まれて初めてオーケストラと共演する。これは相当な緊張をもたらすシチュエーションだと思うのですが、そんなプレッシャーを軽々とはねのけてしまうのがすごい!
テューバの渡部和さんが舞台裏でオーケストラのテューバ奏者、田村優弥さんから連絡先を渡されるという一幕がありましたが、この「夢響」をきっかけに、プロからレッスンを受けるチャンスがあるのかも!? 柄澤円香さんの伸びやかなシュターミッツのフルート協奏曲、林成さんの物怖じしないハイドンのチェロ協奏曲、髙橋哲人さんとモシ村マイコさんがほうきギターとはたきドラムで披露した創意と夫婦愛、山﨑世知留さんとZaChooさんのスタイリッシュな「ミッション:インポッシブル」、歌う喜びが全身から伝わってくる後藤素子さんの「水に流して」、いずれも「もっと聴きたい」という気持ちにしてくれる音楽でした。
今回は6組のなかでも、もっとも見る人の心を震わせた参加者のために「スペシャル・ドリーマー賞」が設けられました。受賞者は髙橋哲人さんとモシ村マイコさん。オーケストラと共演するという夢が叶った、でもその先に続く夢の第二章は?……ということで用意されたのが、日本を代表する名手たちとの共演。世界的指揮者山田和樹指揮のもと、夢響審査員をはじめそうそうたる音楽家たちとのアンサンブルが実現しました。サントリーホールの舞台に鳴り響く、ほうきギターとはたきドラム。この意外性は最高ですね。オリジナリティが爆発していました。
オーケストラと夢をかなえる音楽会~夢響2019 オーディション編 後編
今週は前回に引き続いて、「オーケストラと夢をかなえる音楽会 夢響2019」のオーディションの模様をお届けいたしました。これで全749組の参加者のなかから、本番に進出する6組が決定いたしました。前回もそうでしたが、選ばれなかった方のなかにも魅力的な音楽を奏でる参加者がたくさんいらっしゃるんですよね。できることならもっと多くの方々にオーケストラと共演してほしい! そう思わずにはいられません。
今回、大阪会場から選ばれたのは、マリンバ&ヒューマンビートボックスの異色のコンビ、山﨑世知留さんとZaChooさん。おふたりともお若いのですが、山﨑さんが16歳、ZaChooさんが20歳という高校生と大学生のコンビです。マリンバとヒューマンビートボックスを組み合わせる発想が斬新です。見ようによっては、一種の打楽器のデュオとも言えますね。
さらに大阪からは小学4年生でチェロを弾く、林成さんも本番へと進みました。オーディションで弾いていたのは、ハイドンのチェロ協奏曲第1番。のびやかで自然体の音楽が印象に残りました。ふだんはお父さんのピアノに伴奏してもらっているそうですが、本物のオーケストラと共演するとどうなるのか、楽しみです。
福岡会場から選ばれたのは、エディット・ピアフを歌った後藤素子さん。芯のあるパワフルな歌唱は、伴奏なしでも聴く人に訴えかける力を持っていました。ここにオーケストラが加わったら、どんな相乗効果が生まれるのでしょうか。
以上の3名に、先週オーディションの模様をお伝えしたテューバの渡部和さん、フルートの柄澤円香さん、ほうきギター&はたきドラムの髙橋哲人さん&モシ村マイコさんを加えた計6組が、いよいよ本番のステージに出演します。その模様は10月20日(日)あさ10時からの「題名のない音楽会スペシャル オーケストラと夢をかなえる夢響2019」でお届けいたします。夢の舞台にご期待ください!
オーケストラと夢をかなえる音楽会~夢響2019 オーディション編 前編
昨年に引き続き、今年も「夢響」が開催されます。オーケストラと共演するチャンスはプロの音楽家にとっても限られた機会。ピアノやヴァイオリンなどの音楽コンクールでは、よくファイナルに進んだ参加者がオーケストラと共演しますが、そこではじめて実際にオーケストラと共演する人もいるほど。夢の舞台を目指して、今年は全国6会場でオーディションが開かれました。
この「夢響」では、応募者全員がオーディションに参加することができます。今年は昨年の倍以上となる749組もの応募がありましたので、選考にもいっそう熱が入りました。特に東京会場は参加者が多かったので、オーディションが二日間にわたって開かれるほどの盛況ぶり。
なにしろ楽器不問、ジャンル不問の「夢響」ですので、どんな楽器が登場するのかも見どころのひとつ。オーソドックスな楽器だけではなく、昨年のように段ボール箱やオカリナなど、予想外の楽器がオーディションを通過することもありえます。審査基準は熱意。この人がオーケストラと共演するところを見たい!と審査員に思わせられるかどうかがカギでしょうか。技術的な水準で合否が決まるわけではありません。みなさん、楽しそうなのがいいですよね。
最終選考に進出したのはフルートの柄澤円香さん、ほうきギター&はたきドラムの高橋哲人さんとモシ村マイコさん、ギターの染谷生士さん、ヴィオラの渡邉望さん、テューバの渡部和さんの5組。みなさん、それぞれに音楽への愛情が伝わってくるようなパフォーマンスだったと思います。ほうきギターは自作なんだとか。エアギターではなく本当に弾けるほうきギターという発想は秀逸です。ヴィオラやテューバといった、ふだんは主役を務めない楽器が健闘しているのも印象的でした。オーケストラとの共演が実現したら、どんな音楽を奏でてくれるんでしょうね。次週、後編の結果発表が楽しみです。
題名のない音楽会55周年!令和スペシャルコンサート
「題名のない音楽会」がスタートしたのは1964年のこと。放送開始から55周年を記念して、世界的に活躍する日本の音楽家たちを招いたスペシャルコンサートが開催されました。
ピアニストの藤田真央さんは、先頃、20歳でチャイコフスキー国際コンクール第2位を獲得して大きな話題を呼んだ逸材。2017年にクララ・ハスキル国際ピアノ・コンクールで優勝を獲得するなど、藤田さんの名はかねてより音楽界では知られていましたが、やはり世界最高峰のチャイコフスキー国際コンクールでの第2位ともなると、メディアの扱いの大きさが違ってきます。まもなく世界的巨匠ヴァレリー・ゲルギエフ指揮マリインスキー歌劇場管弦楽団と共演してロンドン・デビューを果たすそうですが、今後ますます国際的な活躍をくり広げてくれることでしょう。
ベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」で藤田さんと共演したのは山田和樹指揮55周年祝祭オーケストラ。このオーケストラのメンバーにも主要コンクールで上位入賞を果たした日本を代表する名手たちがそろっています。今、日本のクラシック音楽界では若く優秀な演奏家が次々と頭角をあらわしてきており、本当に層が厚くなったと感じずにはいられません。藤田さんのみずみずしく伸びやかなソロと、弦楽器の豊麗なサウンドが一体となっていました。ピアノを離れたときの藤田さんの飄々とした語り口も、演奏姿とはギャップがあって、とても印象的でしたよね。
野田洋次郎作曲のアニメ音楽「天気の子」より「グランドエスケープ」と、坂本龍一作曲の映画「戦場のメリークリスマス」より「Merry Christmas Mr.Lawrence」は、ともに映画から発信された日本の音楽。これらを西洋楽器と和楽器のコラボレーションでお届けしました。異なる文化から生まれた楽器と音色が、無理なくひとつに融合していたのではないでしょうか。
第29回出光音楽賞 受賞者ガラコンサート
若手音楽家の登竜門である出光音楽賞。第29回となる今回は、ヴァイオリンの郷古廉さん、ピアノの牛田智大さん、箏のLEO(今野玲央)さんが受賞しました。受賞者ガラコンサートでは秋山和慶指揮東京フィルと共演。それぞれの演奏に受賞者の個性がよくあらわれていたように思います。
チャイコフスキーの「ワルツ・スケルツォ」を演奏したのは郷古廉さん。キレのあるテクニック、明快な表現によって、25歳とは思えない成熟度の高い音楽を披露してくれました。ストラディヴァリから輝かしく豊麗な音色を引き出していたのも印象的。チャイコフスキーのヴァイオリン曲というと、まっさきに協奏曲が思い浮かびますが、こういった優雅な小品も味わい深いですよね。
牛田智大さんはまだ19歳という若さ。11歳の頃の映像にあったように、その美少年ぶりから、アイドル的な人気を獲得していたピアニストです。あまりに人気が先行してしまったため、彼の今後の活動はどうなるのだろうと案じた方もいたかもしれませんが、昨年の浜松国際ピアノコンクールで見事に第2位を受賞して、着実な成長ぶりを示してくれました。曲はプロコフィエフのピアノ協奏曲第3番より。従来の牛田さんのイメージからすると、意外とモダンな曲を選んだように感じましたが、実はこの曲が「ピアニストに憧れるきっかけの曲」だったとは。わたしたちはまだまだ牛田さんのことをよく知らないのかもしれませんね。高揚感にあふれた演奏で客席を沸かせました。
LEOさんは箏という伝統楽器を奏でながらも、前例のない道を切り開く新世代のアーティストです。練習場面で箏にギターのエフェクターをつなげていたのにはびっくり。曲は現代の作品で、肥後一郎作曲の「箏と弦楽合奏のための一章」。西洋音楽の語法によって箏とオーケストラが一体になった、LEOさんにふさわしい作品です。幻想味と生命力に富んだ音楽が深い余韻を残しました。
吹奏楽で聴くスピッツの音楽会
今週は高校吹奏楽の名門校がJポップの名曲にチャレンジする恒例企画。2017年の山下達郎、2018年の松任谷由実に続いて、2019年はスピッツの名曲をとりあげました。会場となった東京文化会館は、普段はオーケストラやオペラ、バレエなども上演する約2300席の大ホールです。広大な空間いっぱいにパワフルなサウンドが鳴り響きました。
スピッツの草野マサムネさんから高校生たちへのメッセージをいただきましたが、この文面がすばらしかったですよね。特に「河原の石みたいだった曲を皆さんがていねいに磨いて磨いて、新たな宝石にしていただいた」という表現にはグッときました。「河原の石」とは謙遜で、実際にはスピッツの曲はとても洗練されていると思うのですが、どんな曲、どんな音楽であっても、他人が演奏することで、作り手の想像を超えた形で磨かれ、やがて時代を超越した「名曲」となってゆくのでしょう。
演奏してくれたのは大阪の淀川工科高校、福岡の精華女子高校、東京の東海大学菅生高校の三校の吹奏楽部。淀川工科高校は「空も飛べるはず」で、のびのびとした歌心を感じさせてくれました。さまざまな楽器が活躍するアレンジも印象的。精華女子高校は名作「ロビンソン」を演奏。軽やかで透明感のあるサウンドは一服の清涼剤のよう。バランスのよい美しい響きが心に残ります。東海大学菅生高校の「チェリー」には、わきあがるような高揚感がありました。
最後は三校合同での「優しいあの子」。収録時には演奏前に指揮の丸谷先生から「リハーサルではただ元気に盛りあがるんじゃなくて、ていねいに演奏しようと言ったけど、あれはナシ。せっかくの機会だから、思い切り盛りあがろう」といった趣旨の一言も。開放感にあふれたサウンドが生み出されました。
吹奏楽で歌うアニソンの音楽会
今週は吹奏楽の名門校三校のみなさんが、岩崎良美さん、高橋洋子さん、岡本知高さんとアニソンで共演を果たしました。
精華女子高校吹奏楽部が岩崎良美さんと共演したのはアニメ「タッチ」の主題歌。1981年、週刊少年サンデーであだち充の原作「タッチ」が連載開始されると大反響を呼び、1985年にはテレビアニメ化されていっそうのブームを巻き起こしました。今の高校生の皆さんはご存じないとは思いますが、当時の「南ちゃん」こと浅倉南人気は大変なもの。日高のり子さんの応援メッセージに、櫻内先生が胸キュンになるのも納得です。高校野球を題材としながらも、ストーリーの根幹はラブコメというのが「タッチ」の新しさ。「スポ根」とは一線を画したさわやかな青春ドラマは、精華女子高校にぴったりの選曲だったのではないでしょうか。
東海大学菅生高校が高橋洋子さんと演奏したのはアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」より「残酷な天使のテーゼ」。これは名曲ですよね。「新世紀エヴァンゲリオン」がテレビアニメとして最初に放送されたのは1995年。空前の大災害後に復興された第3新東京市を舞台に、碇シンジをはじめとする少年少女が巨大人型兵器であるエヴァンゲリオンのパイロットとなって、謎の敵「使徒」と戦います。戦闘ロボットアニメの形をとりながらも、「人は他者といかに向き合うか」というテーマが込められているのが「エヴァ」。碇シンジの「逃げちゃダメだ」は、「目標をセンターに入れてスイッチ」と双璧をなす彼の名言でしょう。東海大学菅生高校のみなさんも逃げることなく、まっすぐに高橋洋子さんの歌唱に向き合って、驚異的な「シンクロ率」を達成していました。
淀川工科高校は岡本知高さんと「天空の城ラピュタ」より「君をのせて」を共演。名物先生、丸谷明夫先生と岡本知高さんの強力タッグが実現しました。パズーからまさかの「バルス!」が唱えられましたが、滅びの呪文に負けることなく、のびやかでみずみずしい音楽が奏でられていました。
ハーモニカ女子たちの休日
知っているようで知らないのがハーモニカの世界。今週は山下伶さん、NATSUKOさん、寺澤ひろみさん、KOHさんの4人のハーモニカ奏者をお招きして、ハーモニカの魅力や仕組みについて語っていただきました。
ハーモニカの種類は大きく分けると、ブルースハープ、クロマチックハーモニカ、複音ハーモニカの3種類。一般に私たちがハーモニカと聞いて、まっさきに連想するのがブルースハープでしょう。ドレミファソラシド……という全音階を出すことができます。ある世代までの方は、小学校の授業でこれに近いタイプのハーモニカを習ったのではないでしょうか。今では教育用楽器としての地位をすっかり鍵盤ハーモニカに奪われてしまいましたが……。
このタイプのハーモニカではドレミファソラシドを鳴らせても、その間にある半音は出せません。ということは、決まったキーの曲しか吹けないのではないか。そんな疑問がわきますが、NATSUKOさんの楽器ケースには、ハーモニカがずらりと12本、並んでいました。なるほど、1オクターブには12の音がありますから、12種類の異なるキーの楽器を持っていれば、どんなキーの曲にも対応できます。
NATSUKOさんがおっしゃっていた言葉で印象的だったのは「イナたい音」。この言葉、ご存じでしたか。初耳だったのですが、枯れた音、ブルージーな音を指すのだとか。どういう語源なんでしょう? 「田舎」から派生してできた言葉なんでしょうか。
寺澤ひろみさんが複音ハーモニカを駆使して演奏してくれたのはソル作曲のモーツァルトの「魔笛」の主題による変奏曲。本来はギター独奏曲として知られた名曲です。複数の楽器を重ねて持って、上下にスライドさせながら楽器を替える奏法が披露されました。しかも、曲の途中で楽器を持ち替えて、都合9本もの楽器を使用しています。鮮やかなテクニックでした。