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クラシックはなぜ眠くなる?の音楽会

投稿日:2023年06月03日 10:30

昔からクラシック音楽を聴くと眠くなると言われています。そう言われると「いやいや、クラシック音楽の名曲はどれもエキサイティングな曲ばかりだから、眠くならない!」と反論したくなる気持ちもわいてくるのですが、演奏会の客席でうとうとする光景は決して珍しくありません。CDなどでも「ぐっすり眠れるクラシック」といったタイトルの安眠を促すコンピレーションアルバムが根強い人気を誇っています。
 加藤昌則さんのお話にも出てきたバッハの「ゴルトベルク変奏曲」は、眠りにまつわる名曲の代表格。この曲には「バッハが不眠症の伯爵のために作曲した」という有名なエピソードがあるんですね。それが不眠を解消するためなのか、あるいは夜の退屈を慰めるためのものなのかは、なんとも言えませんが……。
 どうしてクラシックで眠くなるのか。ゲストのみなさんからは「一定したテンポのくりかえしが眠気を誘う」「上下に動く音の揺れが安心感を誘う」「激しい曲からゆっくりの曲になると心拍数が落ち着き眠くなる」といった意見が出てきました。なるほど、眠くなる曲には一定の傾向があるように思います。特に宮田大さんと大萩康司さんが演奏してくれたファリャの「ムーア人の織物」から「ナナ」に移る流れは効果てきめん。「ナナ」が始まると、すっかり体の力が抜けてしまいました。
 加藤さんの指摘する眠くなる曲の3要素は「行き着く先がわからない音楽」「ゆっくりと変化のない曲」「下行形で終わるメロディ」。これも納得です。特に長大なオーケストラ曲では「行き着く先がわからない」ために眠くなることがよくあると思います。起承転結といいますか、音楽の文脈が追えなくなってしまうと、眠気に負けてしまうんですよね。長い曲の場合は、先に録音などで軽く曲を予習しておくと、眠気防止になるかもしれません。

飯尾洋一(音楽ジャーナリスト)

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