千葉県少年少女オーケストラは10歳から20歳までの団員約160名で構成されるオーケストラ。少年少女オーケストラながら、マルタ・アルゲリッチ、クリスティアン・アルミンクといった世界的な音楽家たちと共演しているのですから、驚かされます。設立は1996年。都道府県レベルでは全国初の少年少女によるオーケストラなんだそうです。演奏はアルミンクさんが語っていたように「プロ顔負け」。井上道義さんとともにショスタコーヴィチの交響曲第1番を演奏していましたが、選曲も大人のオーケストラと変わりません。
ショスタコーヴィチは20世紀のロシアで活躍した作曲家。交響曲第1番は19歳で書かれ、大評判を呼びました。ショスタコーヴィチはまだ音楽院の学生でしたが、「モーツァルトの再来」と呼ぶ声もあったほど。当時、ロシアはソビエト連邦という一党独裁の共産主義体制のもとにありました。この国では芸術家の表現は国家によって厳しく管理されていました。体制を賛美する作品が求められ、社会批判につながる作品を書くと粛清されてしまう。ショスタコーヴィチは困難な環境のなかで、国家の要請と芸術家の良心の間で葛藤しながら、創作活動を続けた作曲家です。ショスタコーヴィチの音楽は、そんな不自由さと切っても切れない関係にあります。
一方、モーツァルトのピアノ協奏曲第9番「ジュノーム」には自由な空気が漂っています。こちらは21歳で書かれた作品。後の成熟期を先取りするような充実した傑作で、創意に富み、すみずみまで生命力にあふれています。しかも、小曽根さんは原曲にアドリブを加えたり、ジャズ風のカデンツァを挿入するなど自由自在。おそらく作曲当時のモーツァルトも、演奏するたびに違った弾き方をしていたはず。小曽根さんの生き生きとした表情も印象的でした。オーケストラの若いメンバーたちに大いに触発されたのではないでしょうか。
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日本最高峰!少年少女オーケストラの音楽会
投稿日:2019年06月08日 10:30
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