今週は先週に引き続いて移動式コンサートホール「アーク・ノヴァ」で収録が行われました。東京ミッドタウンの芝生広場に開設されたこのアーク・ノヴァ、まるで臓器のような独特の形状をしていますが、コンサートホールとして設計されただけあって、内部では適度な残響が得られるようになっています。
この響きが生かされていたのが、藤原道山さんら5人の尺八奏者による伝統曲「鶴の巣籠」。各奏者がそれぞれ別の場所から登場し、演奏しながら舞台へと移動することで、会場内に立体的な音響空間を作り出していました。こういった試みは現代音楽などでもありますが、アーク・ノヴァのようなモダンな空間に尺八の伝統曲を組み合わるという発想はとても新鮮です。
藤原道山さんと松永貴志さんのデュオによるチック・コリアの「スペイン」にも驚きました。まさか尺八であの曲を演奏できるとは! 尺八とピアノの音色は一見すると異質な組合せなのですが、アーク・ノヴァの非日常的な空間では両者の間に調和が感じられてしまうのが不思議なところ。
演奏中になんどか藤原道山さんが片足を軽く上げながら一瞬下を向く場面がありました。「ん、これは尺八流の感極まったというアクションなのかな?」と思いきや、実はこれ、尺八の先を腿を使ってふさいでいたんだそうです。通常の奏法ではどうしても出ない音があるので、管の先をふさいで出すのだとか。そんな超絶技巧があったんですね。松永さんのピアノも最高にカッコよかったです。全身ゴールドの衣装がまぶしかった!
石丸さんが「この道」「赤とんぼ」を歌う場面で説明されていたように、ルツェルン・フェスティバル芸術総監督ミヒャエル・ヘフリガーさんのお父さんは、あの世界的な名テノールのエルンスト・ヘフリガー。日本との縁が深く、90年代前半にリリースされたアルバム「ドイツ語で歌う日本の歌」は一世を風靡しました。
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アーク・ノヴァから生まれる音楽会
投稿日:2017年11月18日 10:30
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