夏になるとどこかに出かけたくなってきますよね。みなさんは海派でしょうか、山派でしょうか。
大作曲家たちが残した名曲を眺めてみると、どちらかといえば海派が優勢のように思います。今週は「海を感じる音楽会」。波がもたらす不規則なリズムは、作曲家の創作意欲を刺激するのかもしれません。
ブリテンの「ピーター・グライムズ」は北海に面した漁港を舞台とした20世紀オペラの大傑作です。主人公の漁夫ピーターが村人たちから疎外され、追い込まれていくという大変重苦しいテーマを描いているのですが、本日お聴きいただいた「日曜の朝」には、ほのかな希望が垣間見えます。
武満徹もくりかえし「海」をテーマにとりあげた作曲家のひとり。本日の「波の盆」以外にも、「海へ」(I、II、III)、ドビュッシーの交響詩「海」からの引用を含んだ「夢の引用」、調性の海に独奏ヴァイオリンが流れ込んでいくという「遠い呼び声の彼方へ!」など。武満作品には「水」にまつわる曲も多いですよね。
メンデルスゾーンが序曲「静かな海と楽しい航海」を書いたのは21歳の頃。メンデルスゾーンの場合は実際の海ではなくゲーテの詩にインスピレーションを受けているわけですが、これほど見事に航海が描かれた作品がほかにあるでしょうか。ワーグナーはメンデルスゾーンのことを「第一級の音の風景画家」と評しました。これは微妙なニュアンスの言葉です。ほめているような、それとも貶しているような?
しかし風景画が人の心を動かす力は侮れません。流麗な天衣無縫の音楽はメンデルスゾーンならでは。終結部の部分でティンパニの連打が始まるところは、なんど聴いても胸が熱くなります、田中祐子さん指揮の東京交響楽団が精彩に富んだ演奏を聴かせてくれました。
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海を感じる音楽会
投稿日:2017年07月16日 09:30
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