ヨーロッパを中心に長い歴史を持つクラシック音楽の世界では、アメリカは若くて新しい国の立場です。1892年、ニューヨークにもヨーロッパ並みの本格的な音楽院を設立しようと考えた富豪のジャネット・サーバー夫人は、院長としてドヴォルザークを招きました。ドヴォルザークのような著名な作曲家をヨーロッパから招くことが、音楽院の声望を高めるためにどうしても必要だったのでしょう。当初、ドヴォルザークはチェコを離れることを逡巡していましたが、破格の報酬が約束されたこともあって、アメリカ行きを決断しました。
ドヴォルザークがアメリカにわたったおかげで、交響曲第9番「新世界より」のような傑作が生まれたのですから、わたしたちはジャネット・サーバー夫人に感謝するよりほかありません。もっとも、1893年に恐慌が起き、サーバー夫人が高額な報酬を支払えなくなったため、ドヴォルザークのアメリカ時代は長くは続きませんでした。
やがて、アメリカはガーシュウィンやコープランドのような自国の作曲家によって、独自のクラシック音楽を作り出すようになりました。番組中でガーシュウィンの「ラプソディ・イン・ブルー」の冒頭が演奏されましたが、この曲はジャズでもありクラシックでもあるという、アメリカならではの名曲です。
レナード・バーンスタインの「ウェスト・サイド・ストーリー」は、映画やミュージカルで知ったという方が多いでしょう。オーケストラ用の組曲はコンサートでしばしば演奏される人気曲です。新日本フィルのみなさんの「マンボ!」の掛け声、盛り上がりましたよね。バーンスタインといえば生前は、作曲家よりも指揮者として注目を浴びることが多かったのですが、没後四半世紀を経た今、彼の作品の演奏機会は着実に増えているように思います。バーンスタインはアメリカの作曲家として、すでにクラシック音楽の伝統の一部になった感があります。
それにしても井上道義さん、カウボーイの衣装がさまになっていました。絵になりますよね。
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アメリカン・クラシックの音楽会
投稿日:2016年03月13日 09:30
コメント
とても開放的な音楽会ですっきりしました。たまにはこのような楽しく、のりのりの音楽もいいですね。井上さんも楽しそうだったので、こちらも心が開放されました。
とても楽しい音楽会でした。「新世界より」は音楽の時間「ホームシックから生まれた名曲」と習いました。第2楽章を拝聴したとたん遠きあの日にタイムスリップしました。セレブなマダムに感謝ですね。あと楽団員の方の「マンボ♪」楽しそうでした。そしておっしゃる通りカウボーイ姿素敵でしたね。スタイルがよくないと着こなせないですよね。 来週も楽しみにしております。