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夏から連想する音楽会

投稿日:2023年07月15日 10:30

暑い日が続きますね。今週は「夏から連想する音楽会」と題しまして、夏から連想する言葉を数珠つなぎにして、その言葉からイメージされる曲をゲスト奏者のみなさんに演奏していただきました。
 まずは「夏」といえば「暑い」。辻彩奈さんのヴァイオリン、松井秀太郎さんのトランペット、近藤利樹さんのウクレレで、ガーシュウィンの「サマータイム」が演奏されました。ジャズのスタンダードとして、さまざまなアレンジで演奏される名曲ですが、こんな編成で演奏されることはまずありません。この曲はもともとはオペラ「ポーギーとベス」の一部。ガーシュウィンがアメリカならではのオペラを生み出すべく、ブルーズやジャズ、黒人音楽の語法を取り込んで作曲した意欲作です。第1幕のイントロダクションに続いて、「サマータイム」が子守唄として歌われます。3人の演奏からは、うだるような暑さのなかにサッと清風が吹き込んだかのような爽快さが感じられました。
 松井秀太郎さんが「暑い」から連想したのは「海」。こんなに暑いと海に行きたくなりますよね。曲はボサノバの創始者として知られるアントニオ・カルロス・ジョビンの「Wave」。トランペットのソロが少しけだるいムードを醸し出して、なんともいえない心地よさがありました。
 辻彩奈さんが「海」から連想したのは「嵐」。辻さんがイタリアのパレルモに滞在した際、海辺で嵐に出会ったことからの連想です。そしてヴァイオリンで「嵐」といえば、まっさきに思い浮かべるのがヴィヴァルディの「四季」。「夏」の第3楽章は嵐を描写した音楽として知られています。辻さんが奏でる嵐の音楽はスリリング。鋭く激しい嵐が自然の脅威を表現します。
 近藤利樹さんが「嵐」から連想したのは「雷」。FUJI ROCK FESTIVALに出演した際、雷が落ちたときに演奏していたというボン・ジョヴィのLivin’ On A Prayerを選んでくれました。重厚な原曲とはまた一味違った、ウクレレならではの歯切れよさが魅力。カッコよかったですよね。

飯尾洋一(音楽ジャーナリスト)

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