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ロン=ティボー国際コンクール第1位 ピアニスト・亀井聖矢の音楽会

投稿日:2023年01月21日 10:30

今週は昨年11月にパリで開催されたロン=ティボー国際コンクールで第1位に輝いた亀井聖矢さんをお招きしました。2019年に日本音楽コンクールで第1位を受賞するなど、かねてより将来を嘱望されていた亀井さんですが、著名な国際コンクールで第1位を獲得したことで、これからますます活躍の場が広がってゆくことでしょう。
 ロン=ティボー国際コンクールは1943年から続く歴史のあるコンクールです。名ピアニストのマルグリット・ロンと名ヴァイオリニストのジャック・ティボーが共同で創設したことから、ふたりの名前を合わせて「ロン=ティボー国際コンクール」と名乗っています。ですので、ピアノ部門とヴァイオリン部門があります(一時期のみ声楽部門がありました)。ピアノ部門の過去の優勝者には、伝説的な名奏者サンソン・フランソワをはじめ、アルド・チッコリーニやパスカル・ロジェらの名前が並んでいます。
 亀井さんのお話にコンクールでの順位の発表がフランス語だけでわかりづらかったとありましたが、この結果発表のセレモニーがショーアップされているのも印象的でしたね。順位に先立って聴衆賞やオーケストラ・ミュージシャン賞など、特別賞の発表があり、その際にそれぞれの受賞者が演奏するという趣向になっていて、ずいぶんと長時間のセレモニーだったようです。
 本日、最後に亀井さんが演奏してくれたのはバラキレフの「イスラメイ」。バラキレフはロシア五人組で主導的な役割を果たした作曲家です。コーカサス地方への旅をきっかけに、民俗舞曲を用いた「イスラメイ」を作曲しました。副題は東洋的幻想曲。初演以来、難曲中の難曲として知られています。しかし亀井さんの演奏で聴くと、あまりに音楽の流れが自然で、難曲であることをまったく感じません。切れ味の鋭さと端然としたエレガンスを兼ね備えた名演だったと思います。

飯尾洋一(音楽ジャーナリスト)

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