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角野隼斗が挑む!ポストクラシカルを知る音楽会

投稿日:2022年10月29日 10:30

今週は角野隼斗さんをお招きして、近年のクラシック音楽界に訪れた新たな潮流「ポストクラシカル」について教えていただきました。
 「ポストクラシカル」という言葉はご存じでしたでしょうか。クラシック音楽(クラシカル・ミュージック)に「ポスト」という言葉が付いていますから、最初にこの言葉を耳にしたときは古いのか新しいのかどっちなの?と微妙に違和感を感じたものですが、今や新たな音楽ジャンルを示す言葉としてすっかり定着しています。角野さんが語っていたように「クラシック音楽のサウンド感をベースに電子音楽の要素を足す」「生音を大事にしながらデジタルでできることを追求する」ことが、「ポストクラシカル」の特徴として挙げられると思います。
 この分野の先駆者はドイツ生まれのイギリスの作曲家マックス・リヒター。2012年にリリースしたヴィヴァルディの「四季」を「リコンポーズ」したアルバムは英米独のiTunesクラシックチャートで第1位になるなど、世界的に大きな話題を呼びました。クラシックの名曲にエレクトロ、アンビエントの要素を巧みに融合させた名盤です。
 今回番組で演奏された角野隼斗さんの「追憶」と「胎動」も、それぞれショパンのバラード第2番、練習曲作品10-1という名曲を「リコンポーズ」した作品で、まさしく「ポストクラシカル」の発想で書かれたもの。とても自由で新鮮な音楽だと感じます。
 もともとクラシック音楽の世界には、作曲家の意図を尊重して楽譜を正確に再現しようという原典主義の考え方が定着しているのですが、ポストクラシカルの方向性はまったく違います。原典にインスパイアされることによる創造性が大切にされていると言えるでしょうか。
 番組内で角野さんと話していたヴィキングル・オラフソンは、アイスランド出身の注目のピアニスト。オラフソンはコンサートで伝統的なレパートリーを弾く一方、ポストクラシカル的な発想を取り入れたアルバムを発表しています。角野さんに少し近いスタイルのアーティストと言ってもいいかもしれませんね。

飯尾洋一(音楽ジャーナリスト)

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