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5拍子で楽しくなる音楽会

投稿日:2022年10月22日 10:30

今週は5拍子の音楽の魅力をお伝えいたしました。ふだん私たちが耳にする音楽のほとんどは2拍子、3拍子、4拍子。5拍子は圧倒的に少数派です。
 もっとも有名な5拍子の曲といえば、一曲目に演奏された「テイク・ファイヴ」、そして「ミッション・インポッシブル」(スパイ大作戦)のテーマでしょう。この2曲を聴くと、5拍子はぜんぜん不自然に聞こえませんよね。5拍子ってカッコいいんだなと感じます。でも、いざ音楽に合わせて5拍子に乗ってみようと思うと、やっぱり難しい……。ユザーンさんが5拍子を身体になじませる技を教えてくれましたが、いかがでしたか。「裏拍で手拍子を打つ」はなかなかの高難度でしたけど、5拍子って楽しいですよね。
 「ミッション・インポッシブル」の作曲者ラロ・シフリンは、ある記者会見で「どうして5拍子でこの曲を書いたのか」と質問されて、「今、惑星間飛行の影響で宇宙から電波が届いているのは知ってますよね? 宇宙人は5本足で、私たちの音楽では踊れないんです。だから5拍子の曲を書いたのです」と答えたそうです。もちろんジョークなのですが、記者はこれを真に受けて記事にしてしまい、シフリンはエージェントに叱られてしまったのだとか。
 そういえばホルスト作曲の組曲「惑星」の第1曲「火星」は5拍子で書かれています。やはりホルストも火星人のために5拍子を書いた……のではありません。この曲では「火星」のシンボルとして「戦いの神」を表現するために、5拍子が独特の緊迫感を生み出しています。クラシックではほかにもチャイコフスキーの交響曲第6番「悲愴」の第2楽章が5拍子で書かれています。こちらは流麗なワルツ。5拍子でも踊れるかも?
 最後にユザーンさんが演奏してくれた北インド古典音楽「アヒル・バイラヴ」は、なんと「5拍子×2」による10拍子。ゆったりした音楽の流れが不思議な心地よさを生み出していました。音楽の世界は本当に広いですね。

飯尾洋一(音楽ジャーナリスト)

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