今週は宮田大さんにチェロの魅力をたっぷりと伝えていただきました。
チェロにもストラディヴァリウスの名器があることに、驚かれた方も多かったのではないでしょうか。ストラディヴァリウスといえばヴァイオリンをまっさきに思い出しますが、実はヴィオラやチェロ、ギターなどもあります。ただ、ストラディヴァリウスのチェロは、ヴァイオリンに比べると、ほんの少ししかありません。希少価値が高く、オークションなどでは大変な高額で取り引きされることになります。
チェロでもヴァイオリンでもそうですが、歴史的な名器の価格が高騰した結果、もはや音楽家が個人で購入できるような価格ではなくなったため、財団や企業が所有して「この人こそ名器にふさわしい!」と見込んだ奏者に貸し出すケースが増えてきました。当番組の以前の司会者、五嶋龍さんのストラディヴァリウスも、財団から貸与されたもの。若い奏者が歴史的名器を使っている場合は、ほとんどがこのような貸与だと思います。逆に言えば、貸与されることは一流奏者の証であると言えるでしょう。
チェロは高機能な楽器でもあります。音域の広さのみならず、特殊奏法を含めた多彩な表現力を持っています。黛敏郎作曲の「BUNRAKU」はまさにその好例。太棹三味線や大夫の語りを模すという作曲者の大胆な発想がすごいですよね。「チェロは人間の声に近い」とはよく言われますが、まさかあんなふうに語りを音楽に昇華できるとは!
エルガーのチェロ協奏曲は、古今のチェロ協奏曲のなかでも屈指の名曲です。チェロ協奏曲はやはりヴァイオリン協奏曲に比べると数が少ないのですが、エルガー、シューマン、ドヴォルザーク、サン=サーンスらが傑作を残しています。エルガーの音楽の魅力は、その高貴さ。威厳と気品、そして情熱とロマンティシズムが全編にあふれています。宮田さんのスケールの大きなソロがすばらしかったですね。
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チェロの魅力を知る音楽会
投稿日:2019年06月29日 10:30
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