今週はオーケストラの打楽器奏者に焦点を当てて、その奥深い世界をご紹介しました。奏者それぞれの工夫やこだわりが垣間見えて、新鮮な驚きがありましたよね。
打楽器奏者がほかの奏者と異なるのは、ひとりでたくさんの種類の楽器を演奏しなければならないところ。小太鼓や大太鼓、シンバル、マリンバなど、いろいろな楽器を演奏できなければいけません。しかも、福島喜裕さんが披露してくださったように、シンバルひとつとっても楽器によって特徴がさまざまに異なるというのですから驚きます。
さらに打楽器奏者は「なぜこれが打楽器なのか?」と思うような楽器まで受け持ちます。レスピーギの交響詩「ローマの松」における鳥笛をはじめ、ホイッスルやホースのように、叩かないタイプの楽器であっても、打楽器奏者が担当します。ルロイ・アンダーソンの「タイプライター」に登場する機械式タイプライターや、ガーシュウィンの「パリのアメリカ人」で使われる車のクラクションのように、本来は実用品だったものが特定の名曲のおかげで楽器になったという例もあります。
特定の曲との結びつきが強い打楽器といえば、マーラーの交響曲第6番「悲劇的」の終楽章で登場するハンマーを挙げないわけにはいきません。大きな槌を振り下ろす様子は視覚的にも迫力満点。舞台に近い客席にはかなりの衝撃が伝わります。特に舞台奥側にも座席があるタイプのコンサートホールでは、ハンマーのすぐそばで聴いているお客さんが思わず身構えてしまうこともしばしば。知らずに聴いて、こんなにびっくりする交響曲もないでしょうね。
ちなみにこのマーラーの「悲劇的」ではハンマー以外にもグロッケンシュピール、カウベル、むち、鐘、シロフォン、シンバル、タムタム他の打楽器が用いられます。20世紀以降、オーケストラで使用される楽器の種類はぐんと増えました。打楽器奏者の役割は広がるばかりです。
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オーケストラの打楽器奏者を知る休日
投稿日:2018年08月18日 10:30
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