今週は「フィギュアスケートの音楽会2017」。フィギュアスケートではふつう、録音に合わせて選手が演技をしますが、今回はそれを逆にして、演技の映像に合わせてオーケストラが生演奏をするという趣向の音楽会でした。
なにしろ演技にぴたりと音楽が同期しなければいけませんから大変です。演奏と映像がずれるのを防ぐために、奏者がイヤホン経由で映像に同期したカウントを聞きながら、これに合わせるという複雑な方法をとっていました。ということは、指揮者の三ツ橋敬子さんは、目で楽譜と映像を確認し、耳でカウントとオーケストラの演奏を聴きながら、棒を振っていたわけです。脳内はフル回転だったと思いますが、これは離れ技でしょう。
フィギュアスケートの音楽といえば、原曲の大胆なアレンジも特徴です。演技の構成や長さの規定に合わせるという必然があってのことなのでしょう、原曲をカットしたりつなげたり、順番を変えたり、いろいろな工夫が施されています。宇野昌磨選手のヴィヴァルディ「冬」の構成がおもしろかったですよね。第3楽章ではじまって、いつのまにか第1楽章にジャンプしているという思い切った構成なのですが、演技のストーリーに沿っているからでしょうか、映像を見ながら聴くと編曲に説得力があります。
ちなみにこの曲にはおそらく作曲者自身が用意したと思われるソネット(詩)が残されています。「冬」の第3楽章には氷の上を歩く場面が描かれていますので、フィギュアスケートに使われるのは納得です。
最後はゲストの小塚崇彦さんが世界選手権で銀メダルを獲得した際の曲、リストのピアノ協奏曲第1番。楽曲自体に圧倒的な迫力があって、アスリート的な要素を感じさせます。鍵盤と銀盤の超絶技巧が見事に一体化していました。
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フィギュアスケートの音楽会2017
投稿日:2017年12月09日 10:30
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