先週はスコットランドが独立するかどうかを決する住民投票のニュースがメディアを賑わせていましたね。
結局、イギリスに留まる「現状維持」ということにはなりましたが、
スコットランドはこの騒動によって「自治権拡大」という大きな対価を手にすることに。
独立反対派はもちろん、独立派にとっても「負けるが勝ち」な運動になったようです。
そんな、遠く離れた地域の独立騒ぎで印象に残ったのが、“愛郷心”の強さ。
大学時代にスコットランドのエジンバラを旅行したときのことを思い出しました。
高級レストランの前を通りかかると、ドレスアップした女性をエスコートしていたのは
伝統衣装のキルトを颯爽と着こなしたスコットランド紳士。
そのあまりのナチュラルさと気高さに、うっとりしたのを覚えています。
その“国”らしさがにじみ出る瞬間や、それを大事にする空気って、
とてもすてきだなぁと思うんですよね。
先日のギリシャ旅行でも随所に感じました。ギリシャらしさ。
アテネには、とても財政的にひっ迫し緊縮策のもとにあるとは思えない陽気さがありました。
2年前に取材したとき同様、ショッピングストリートにはずらりとシャッターが下り
夜は浮浪者がたむろする様子を見る限り、
昔はもっともっと陽気だったんだろうなぁということが窺えますが、
平日の真昼間に大賑わいのカフェで雑談なのか議論なのかなんなのか分かりませんが
侃侃諤々よろしくやっている皆さんを見ていると、なんだかとても楽しそうなんです。
そして会う人会う人、とにかく優しくて明るい。
ギリシャ人の男性は大概コワモテでちょっと老け顔(失礼)、
女性はエキゾチックで近寄りがたいような強気美人顔が多いんですが、
話しかけると本当に、感じのいい人たちです。
優しくて適当で大らかで細かいことは気にしない。
人に対してそうであるように、自分に対しても恐らくそうだというところに
財政危機を招く温床があったような気もしますが、
そんなギリシャ人気質に、心底惚れました。
ひるがえって、日本人らしさ、日本らしさってなんだろうと考えさせられます。
人のことをきちんと考えるホスピタリティ、勤勉さ、優柔不断なところ・・・?
そんな「らしさ」は、今の日本から、今の私から、ちゃんと滲んでいるのでしょうか。
ひとくくりに「らしい」とされることは時に煩わしく、時に鬱陶しいものですが、
そんな自分の中に確実に備わっているはずのアイデンティティーが急に愛おしくなります。
ほかの国や地域のアイデンティティーを覗き見ることで、
自分の住むところや自分自身のアイデンティティー、
生まれた時からそれが守られ、確保されていることの有難みや尊さを再確認する。
旅の醍醐味なんじゃないかなぁと、旅行するたびに感じます。