先週金曜日は、京都から生中継で番組をお伝えしました。
場所は、鳥獣人物戯画で有名な世界遺産の高山寺。
余計なものを削ぎ落とした、素朴で静かな佇まいのお寺です。
予報では激しくなると出ていた雨もパラつく程度で、
ちょうどいい風情を醸し出していて、
ふんわりと色づいた紅葉の一葉一葉のグラデーションを、
より鮮やかに、より優しく際立たせていました。
いにしえの時を刻むお寺で、まさに時代の最先端を走る
ゲストにご登場いただきました。
京都大学教授の山中伸弥さん。
iPS細胞の生みの親です。
物腰柔らかく、まっすぐな眼差しでお話をされる
山中教授の語り口は、いつも冷静で整理されていて、
難しい内容であってもぐいぐい惹きつけられます。
「一人でも多くの患者さんを救いたい」と、山中教授。
iPS細胞の研究に込めた静かな情熱を感じました。
人の体は、受精卵が細胞分裂を繰り返すことによって作られていきます。
分裂する中で、あるものは皮膚細胞、あるものは神経細胞と、
役割分担がなされるように細胞は「分化」していくのですが、
一度分化した細胞は、もう他の種類の細胞にはなれない、とされていました。
それを可能にしたのがiPS細胞なんですね。
皮膚などから採取した細胞をiPS細胞にすることによって、
あらゆる細胞への分化が可能となるんです。
・・・という説明で合っているでしょうか・・・。ちょっと不安ですが。
そんなiPS細胞の研究所、CiRAにもお邪魔しました。
ラボのほかに、細胞が工場のように製造、出荷される部屋もあったり。
細胞が出荷されるんですよ!!
文系なのにこういうの結構好きなんです。
SF映画さながらの世界に、取材を忘れて大興奮でした。
細胞の、時計の針を戻す。そして新しい人生を歩ませる。
iPS細胞の技術は、
再生医療、難病のメカニズムの解明や創薬などだけでなく、
無限の可能性を秘めています。
精子や卵子だって、ヒトの皮膚細胞などから出来てしまうかもしれないんです。
動物と人間を掛け合わせた生き物を誕生させることも理論上可能になります。
それを考えると、恐ろしくもなります。
パンドラの箱を開けた、という表現もされるiPS細胞。
手にしてしまったからには、
人間の「倫理観」が問われていくんだなと感じました。
長くなりました。
語りだしたらキリがないので、このへんでやめます。