物心つき始めたころから、私の夢は「ニュースを読むアナウンサー」だったんですが、
物心つく前の夢はまた違ったようで。
幼稚園で作ったアルバムには、小さな赤い手形のとなりに、
「ぴあののせんせい」になりたいと書いてありました。
ピアノ、習っていたんです。幼稚園生の頃に習いはじめて、
・・・ええと、いつまでやってたんだったかなぁ・・・。
教室に行っていたのは小学校に上がるぐらいまでで、
それからは母に教わりながらのんびりと練習していたのですが、
きっと学校が楽しくなってきてやめちゃったんですね、だんだんと。
そして数年前に、ピアノ自体も手放して、すっかりご無沙汰だったんですが・・・。
ピアノを習いはじめたという友人が、
結婚式で『美女と野獣』のテーマを披露したという話を最近聞きまして。
「この年にして、久しぶりに味わうドキドキ感だった」
と語るその友人の初々しい表情に感化されてしまいまして。
この度、
買いました。
ピアノ!
電子ピアノですが、結構本格的なもの。
ヘッドセットを付けて深夜にもいくらでも弾けます。
夜な夜な弾いてます。
いかんせん習っていたのが大昔なので、本当に下手ですが・・・。
つっかえつっかえ、頑張ってます。
当面の課題曲は、映画「ニュー・シネマ・パラダイス」のテーマ。
ちょっとした“思い出”がある曲です。
思い出というほどのエピソードではないかもしれませんが、
あまりに「きれい」だったので、心に鮮やかに残っているんです。
高校生の時。
大好きなこの映画の大好きなテーマ曲をどうしても弾いてみたくて、
楽譜を買ってみたものの、まったく弾けず・・・。
諦めて音楽の先生に弾いてもらおうと学校に持っていき、
音楽室を訪ねると、男の子がひとりでピアノを弾いていたんです。
家にピアノがなくて、そこで練習していたみたいなんですね。
同学年だけれど他のクラスの、話をしたことのない男の子だったのですが、
「これ、弾ける?」と、楽譜を渡して弾いてもらったんです。
ちょっとたどたどしくも、一生懸命弾いてくれた男の子の、
楽譜を追う涼しげな眼差しと、艶やかな髪に宿る光の輪。
窓から差し込む西日のふんわりとしたオレンジ色、そこに
細かなホコリがひらひらと煌めきながら舞って。
すべてのピースがぴたりと絶妙にかみ合った、まどろむような放課後に、
「映画みたいだなぁ・・・」と、うっとり心のシャッターを切ったのでした。
そのあと男の子とは特別なにもなかったあたりがやっぱり「現実」ですが。(笑)
まさに、二度とは廻ってこない時間の愛おしさと儚さを描いた
映画「ニュー・シネマ・パラダイス」そのものと相まって、
あのひとときは忘れたくない一瞬として、心に刻まれています。
うーん、淡い記憶ですねぇ・・・。
いちど離れた「習い事」にまた触れてみるというのも、
なかなかおつなものですね。
自分の変わった部分と変わっていない部分が響き合う感覚が楽しいです。
仕事と全く関係のないことにもくもくと向き合うのが、
気持ちよくも、懐かしくもあって。
いい買い物でした♪