映画は全般好きなんですが、唯一あまり見ないジャンルが、SF。
なんでしょう、現実感がなさすぎるからでしょうか。
よくSFファンの方がおっしゃる「哲学的」な魅力もイマイチつかめず、
レンタルDVD店のSFコーナーもスルーしてしまいます。
しかしなのです。
出会ってしまった。
母が間違えて(何をどう間違えると借りてこられるのか謎)借りてきた、
「ギャラクシー・クエスト」。
タイトルからしてSF全開の、10年位前の映画なんですが、
こんなに映画で「楽しい」気分に浸れたのは久しぶりです。
初めて「バック・トゥ・ザ・フューチャー」を観た時のような・・・
というのは言い過ぎ感が否めませんが、同じ種類のワクワク感。
なんで今まで観なかったんだろう。後悔。
完成度の高いB級。S級の愉しみに浸れました。
ストーリーはというと、
「ギャラクシー・クエスト」というSFドラマ
(完全に「スター・トレック」のパロディー)にかつて出演していた俳優たちに、
そのドラマを宇宙で受信し「ドキュメンタリー」と勘違いして
俳優たちの扮するヒーローを敬愛する本物の宇宙人、サーミアン星人が
助けを求めてやってくる、というお話。
とてもざっくりで申し訳ありません。
その「サーミアン星人」がとにかくいい人(人?)そのものだったり、
敵のエビとワニを足して2で割ったみたいな宇宙人が見るからに悪そうだったり、
いがみ合っていた仲間同士が結束を深めていく様など、
もう、ベタな設定がなんともシンプルな勧善懲悪を
これまたベタに展開していきます。でも、「よくある映画」では終わらないんです。
登場人物のキャラクター(特にサーミアンがお気に入り)の愛らしさや、
張られた伏線が完璧に回収されていく脚本の旨味。
そしてなにより、作品に込められた作り手の思いの熱さや真摯さを
随所に感じられるような気がするんです。
コメディーだけれどおふざけではない、まっすぐで夢のある映画です。
映像でもアートでも舞台でもなんでも、
作り手、伝え手の思いや情熱って、
しつこく突き詰めて熱く放出しようと願う気持ちって、
不思議と作品から滲むものですよね。
何が違うのか、どこから出てるのかはわからないんですが、
例えば映像作品だったらスクリーンの枠から、
絵画だったら額縁の隙間から、
そういう作り手の熱は作品に憑依して
うにゅーっと「はみ出す」気がするんです。・・・しませんか?(笑)
それを受け取った時に、時空を超えて作品を生み出した人たちと
同じ空気を共有している気分になる。
その感覚がとても好きです。