というキャッチフレーズに思わず吸い寄せられてしまいました。
今六本木ヒルズの森アーツセンターギャラリーで開催されている、
「ラファエル前派展」。行ってきました。
これまであまり興味をひかれたことがなかったのですが、
壁の色やテーマ設定など展示の工夫も相まって
かなり楽しみました。
ラファエル前派とは、巨匠・ラファエロより前の時代、ということ。
19世紀中ごろの英国。当時の美術はルネサンス美術の最盛期を構築し、支えた
ラファエロの美術形式を踏襲したものが主流だったそうなんですね。
そうしたアカデミズムに反発し、
ラファエロ以前の美術のもっと素朴なあり方に戻ろう!と
ロンドンのロイヤル・アカデミー美術学校の学生だった
ミレイやロセッティが結成したのが「ラファエル前派兄弟団」。
なんだか過激派武装集団の名前みたいですが、
あまりに革新的な動きに、こんなのはいかん!
しかもなんかへたくそだ!と、
当時の権威からは非難轟々だったそうです。
当時の美術界にしてみればまさに「過激派」だったのかも。
実際どんな絵を描いていたかというと・・・。
ラファエロといえば、幸福感あふれる聖母子像や天使など、
ザ・ルネサンスという雰囲気の優美な美術表現を思い浮かべますが、
「なんかそれって、うそっぽいよね」と、若者たちは感じたんでしょうか。
ラファエル前派の絵画はリアリティにあふれています。
人間の営みも、ちょっとぎこちなさが残るくらいにリアルに描かれています。
たとえばイエス・キリスト一家のひと時を描いた、ミレイの「両親の家のキリスト」。
大工の父ヨセフの仕事場で手に釘を引っかけてしまった(!)キリストが描かれているんですが、
実に子どもらしい表情をしています。
母マリアも豊かな微笑みを携えているわけでもなく、
ごくごく普通の家族として描かれているんです。
また、女性の描き方も違うんです。
上のチケットの写真に掲載されているロセッティの名作「プロセルピナ」は
ローマ神話の女神を描いたものですが、
モデルとなったのはロセッティが愛した知人のごく一般の女性。
そして下の画像の絵、パンフレットにも大きく出ている
ミレイの「オフィーリア」も有名な作品ですが、
シェイクスピアのハムレットのヒロイン、オフィーリアが
狂気の中死んでいく様を演じたのは、ミレイの奥さんなんです。
いずれもルネサンス絵画に多く見られる金髪にふくよかな体つきの美女ではありません。
でも、そこには厳格で現実のものとしての、怖いくらいに真に迫った「美しさ」、
それぞれの画家が愛した「美しさ」があります。
「オフィーリア」を実際に観たのは初めてでしたが、
オフィーリアのうつろな瞳とまだ血の気を帯びている頬、
細くしなやかな指先が今にも動き出しそうで、
しばらく絵の前で動けなくなってしまうくらいでした。
当時の若者が自由な発想で自らの理想を追おうとする気概が絵画からあふれ出ているようで、
独特のエネルギーを感じる絵画展でしたよ。
期間中、機会があったらもう一度訪れたいです。
あーまた長くブログを書いてしまった。
好きなことには熱くなってしまいますね。ついつい。
自己満足ですみません!
さいごに
まったく関係がありませんが、
スタイリストさんと服装が丸かぶりだったので
写真を撮ってみました。