ここのところ、夢中で読んでいた本。
パキスタンで女の子が教育を受ける権利を訴え続け、
世界的に有名になった16歳のマララ・ユスフザイさんが
最近出版した自伝です。
去年10月にイスラム武装勢力タリバンに
頭を撃たれたことは衝撃を持って報道されましたが、
奇跡的に一命を取り留め、
なおも自らの主張を訴え続ける勇敢な姿に世界中が驚嘆し、
ノーベル平和賞候補にもなりましたね。
まだ日本語訳版は出版されていません。
日本語の本ですら読むスピードがノロノロな私なので、
英語の本は倍、時間がかかりましたが、
読んでよかった。
びっくりしたのは、描写の細かさ。
物心ついてからの一つ一つのシーンが詳細なんです。
その時着ていた服から、些細な会話の中身まで、
よく覚えていること・・・。
それだけ彼女の一瞬一瞬は、濃密だったんですね。
マララさんの目を通して語られた、
タリバンの抑圧下のパキスタンの現状は、想像を上回る厳しさです。
日々朝起きたら誰かの死体が転がっている。
女性は笑い声をあげるだけで処罰の対象にされる。
少しでも批判的な意見を唱える者には殺害予告がおくられる。
彼女や、彼女を啓発したお父さんも、何度も脅迫を受けましたが、
それでも「自由に発言することは当然の権利」として声を上げ続けました。
その結果、撃たれてしまうわけなんですよね・・・。
お父さんは「タリバンも人の子、まさか子どもを狙うとは思わなかった」と
語っていますが、個人的には、
お父さんはもっと彼女を守ってあげることはできなかったんだろうか・・・。と、
正直複雑な気持ちになりました。
戦争や動乱は幼い子どもをあっという間に大人にするとよく言われますが、
幼い彼女が、生活を取り巻く環境や、パキスタンを取り巻く世界情勢、
パワーゲームに翻弄される人々に素朴に疑問を覚え、
オトナになっていく様子が伝わってきます。
彼女に関しては、
「西側諸国が対イスラム、対パキスタンの行動を正当化するために、
いいように使われている」というような批判がありますが、
そういった状況も、彼女は冷静に捉えながら
今後を考えているのではないかと感じました。
現在、イギリスのバーミンガムで学校に通っているそうです。
「政治家になりたい」という彼女の長い戦いを、見つめ続けていきたいです。
みなさんもぜひ、読んでみてください。