セミ。太陽。うちわ。
ペットボトル。冷やし中華。湿気。
冷房の風。のどの渇き。汗。
汗。汗。汗。汗。汗。・・・
ぅぁああ暑いよ!!
と、ちゃぶ台があったら返しちゃいそうな日々です。
八月も終盤だというのに暑さが続いていますが、
そんな中食べるアイスと
テレビいっぱいに広がる高校球児の熱。
まさに日本の夏という感じ。
思い出すなぁ。2007年の夏。
入社したての私は甲子園にいました。
5回裏のグランド整備の時間、1分間のスタンドリポートを
新人アナウンサーは任されるのです。
マー君VS佑ちゃんに日本中が熱狂した
スター選手ぞろいの前年に比べて、
中田翔選手など注目選手を擁する高校の相次ぐ地方大会敗退などで
「今年は去年に比べてなんだかねぇ」なんていう空気の中。
やってくれました。佐賀北高校。
2度目の出場の、文武両道を掲げる公立高校が、
数々の名門校を次々とやぶる
「がばい旋風」と名付けられた快進撃を見せ、
なんと優勝したんです。
それも引き分け再試合や延長戦など
手に汗握る試合展開を繰り返した末の優勝。
強豪の広島・広陵との決勝戦は、
歴史と、多くの人の心に残る素晴らしいものでした。
広島・広陵が4-0と佐賀北をつき放し、
広陵圧倒的有利で進んでいた試合が動いたのは、8回ウラでした。
そして、まさに「がばい旋風」が吹いたんです。
甲子園でまったく打っていなかった選手がいきなりヒットを打ち
塁を進めると、次から次へと追随、あっという間に満塁に。
フォアボール押し出しで1点が入り、なおも満塁というところへ・・・
ポーン・・・と、まっ白の球が、雲一つない真っ青の空に
美しく描いた弧と、時が止まったように一瞬
静まり返った球場・・・。今も鮮明に、脳裏に焼き付いています。
逆転満塁ホームランが飛び出したんです。
5-4で、佐賀北が奇跡の優勝を果たしました。
私は、縁あって佐賀北高校のアルプスリポートをする機会が
非常に多かったんですが、
最初からほかの学校とはちょっと違った空気があったんです。
今ここにいること、ここに連れてきてもらえていることに感謝して、
一試合一試合、心を合わせようという、
謙虚で慎ましやかな一体感、と言いましょうか・・・。
それが勝ち進んでいくにつれて徐々に熱を帯びていって、
スタンド一帯が波打つような圧倒的な力にかわっていったんです。
そして決勝の8回に、その力は頂点に達しました。
最後の試合。ここまで来た。精いっぱいの力を出し切って終えたい・・・。
そんな思いに包まれ、輪をかけて大きな声で
応援歌を大合唱し始める佐賀北側スタンド。
うねるような大合唱でした。
音の中でおぼれてしまうような。あれはすごかった。
グラウンドも、スタンドも、生き物のようで。
ドラマは作られるのではなく、生まれていくものなんだなぁと。
忘れられない夏です。
今年は、どんなドラマが生まれるんでしょうか。
明日は、高校野球全国選手権の決勝です。