今年の3月10日、福島県広野町を取材しました。
広野町は原発事故後、緊急時避難準備区域に指定されていましたが、
解除され、去年の3月にすでに役場機能は広野町に戻っています。
しかし戻っている住民は、事故前の1割程度。
「なんとか住民に戻ってもらいたい。
再び広野町を愛してほしい」
そんな思いで、広野町に住む鈴木さんが考えたのが、
「桜の公園を作る」というプロジェクト。
海の見える丘に、桜の木をたくさん植えて、
人の集まる憩いの場所を作ろう、というものです。
私も地元の方と一緒に、桜を植えるお手伝いをしました。
「津波も怖いし、僕は水が怖くて泳げないけれど、
海ってこんなに素敵だったんだなぁ。
また賑やかな広野になってほしいなぁ」と、小学生の男の子。
広野町は、その温暖な気候から、東北でも春が訪れるのが早く、
「東北に春を告げる町」とも呼ばれています。
ちょうど1カ月前、うれしいことに、
鈴木さんから桜が花開いたという便りが、
写真アルバムとともに届きました。
住民の皆さんの思いを受け止めて、力強く咲いています。
凛としていて頼もしくて、本当に綺麗です。
便りが届いてから、見に行きたい行きたいと思っていながら
なかなか行くことが出来ずにいましたが、
先週末ようやく時間が出来たので、
福島の中でも今まさに桜が満開という会津若松市に行ってきました!
鶴ヶ城の夜桜・・・タイムスリップしたみたい。
近くで見ると、もうすでに葉桜。
でも、うっとりしますねぇ♪
福島の桜が見られたのも嬉しかったのですが、
なにが一番嬉しかったって、会津の賑わいです。
大河ドラマの影響もあって、観光客が戻ってきているんです。
町には車が溢れ、狭い路地も渋滞してしまっていましたし、
名物わっぱ飯のお店でも店員さんが「人手が足りない!」と
はぁはぁ息を切らせて駆けずり回っていたのが印象的でした。
しかし郡山で寄った仮設団地に避難されている方々とお話しすると、
「会津はね・・・。別物だからね・・・。こっちはまだまだ。
むしろ『よかったね』とそれで言われてしまうと余計つらい。
私たちが抱える問題が、それで忘れされられていく気がして。
『いつまで自立せずに仮設にいるつもりなのか』なんて心無いことを言う
県外の人もいるんだよ」と、複雑な胸の内を語っていらっしゃいました。
本当の意味で、福島に、東北に春が訪れますように。
今また、いただいたアルバムの広野町の桜を眺めながら、
そんな風に思います。