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2016年10月14日

先週の遅めの「夏休み」。今年もまた、日本を飛び出しました。

これまで、まとまったお休みといえば
もっぱらあちこち歩いて観光したり、
音楽を聴いたり舞台を観たり、
歴史や文化に触れて…というスタイル。

でも今年は同じ海外でも、心が欲しているのはそれらではない気がして。
選んだ旅先は…

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真っ白な雪に縁どられた山々の連なり。
鏡のような湖面の清らかな美しさ。うっとりです。

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あの映画「ロード・オブ・ザ・リング」のロケ地。
全景を作るのに3年かかったというホビット庄のセットが
そっくりそのまま残され、観光地になっています。

そして…

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このプツプツしている白いのは、
無数の羊たち!

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かわいらしいですよねぇ。
ラムもおいしい…。

羊といえば。
そう!ニュージーランドです。

今年はなんだか無性に、大自然に囲まれたくなったんですよね。
なんでしょう。心が疲れていたんでしょうか。笑

そんな私を最大限癒してくれた旅のハイライトは、乗馬。

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手つかずの壮大な自然の中を、ぱっかぱっか。
風は心地よく、馬はかわいい。
解き放たれて溶けていくような時間でした。

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そんなわけで、心も体も深呼吸な一週間だったのですが、
心に深く印象に残った場所が、もうひとつ。

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町のシンボルだった大聖堂は、取り壊しが決まっているようで、
痛ましい姿のまま。

旅行の最初に立ち寄ったのは、クライストチャーチ。
東日本大震災の直前、2011年の2月22日、
ここをМ6.1の大地震が襲いました。
緑と花が街中に溢れ、古き良きイギリスの面影を思わせる美しい街並みが
完全に元通りになるには30年はかかるという発表が、昨年あったばかり。
5年と半年以上がたった今も、傷痕がいたるところに残されています。

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復旧工事の最中のもの、取り壊しが決まっているもの、
まだ何のめども立っていないもの。

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「地震から立ち直る」ということがどれだけ厳しく
途方のない労力を伴うものかということは、
日本人である以上理解できているつもりでも、
やっぱり、悲しかった。ショックでした。

そしてひときわ、胸が締めつけられる空間が。

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白い椅子が、整然と並べられています。
185 Empty Chairsと名付けられた展示。
地震で犠牲となった185人の方々、ひとりひとりの個性を表現しています。

椅子に座って対話をしてみてくださいとの案内が。

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車椅子の方も、巻き添えに…。

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バースツール。この人はお酒が好きだったのかな。

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小さな赤ちゃんも、いたんだ…。

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あ、これは日本で人気のクッションソファだ。

地震では語学学校も甚大な被害を受け、
留学などで訪れていた日本人の若者28人も、
命を落としました。

改めて、亡くなった方々のご冥福をお祈りします。

なんて哀しい場所。

ずん、と重苦しい空気に包まれる中、
ふと目を転じると、白い三角屋根。

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世界各地の被災地で、建築を通して支援活動を行っている
日本の建築家、坂茂さんが、
ボール紙などで作った「紙の教会」です。
椅子たちと同じ「白」でも、
なんだかこちらからは温もりが感じられるから不思議です。
正面から見るとアルファベットのAのようなシンプルな造形は、
ABCのAからまた始めよう、と語りかけているかのようで、
曇り空のもとでも前向きで、毅然とした明るさに満ちています。

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思えば、クライストチャーチの人たちも、みんなそんな感じ。
あったかくて、優しくて、明るくて。
接しているとこちらも自然に笑顔になってしまうような、朗らかさ。

廃墟のような景色がいたるところにあるのに、
暗い気持ちに心の中が占拠されない理由は、
そこにあるのかもしれません。

だから、ここは大丈夫。
一歩ずつ、ちょっとずつでも、
穏やかに、でもたくましく前を向いて、
陽の射すほうへとたしかに進んでいくんじゃないかなと、
そんな風に思える町でした。

また復興の行方を見届けに、訪れたいな。

さて。
復旧。復興。
こちらもその歩みを進めようとしています。

今日、10月14日で、熊本地震から半年。
被災地は、今。

今夜の「報道ステーション」は、
富川キャスターが益城町から中継で伝えます。
ぜひ、ご覧ください。

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