マイ・パワースポット
2015年07月17日

写真1

こちらを入ると、「報道ステーション」のスタジオがあるんですが、
私が立っているこのスタジオ裏の空間は、
アレンジメントスペースと呼ばれる場所。

写真2

いわば「美術倉庫」ですね。
必ずここを通って、スタジオに向かっています。

「仕事で落ち込んだり自分を見失いそうになったとき、
誰もいないスタジオに立ってみるんだ。
憧れの場所で、憧れの仕事をしている幸せを、
呼び起こすことができるから」
新人時代、先輩アナウンサーからそんな風に聞かされました。
確かにカメラの前、マイクの前に立つアナウンサーにとって
スタジオは象徴的な場所。
でも、私の場合、ちからをもらえる場所といえば、
スタジオよりも断然こっち。
舞台裏のこのスペースです。

写真3

何が好きって、匂いなんです。
このスペースには大きなセットや出し物が保管されています。
木材や段ボール、粘着テープや接着剤、カラースプレー、
機材や照明・・・。
思い出すのは、高校時代。
みんなで一から作り上げた空間と、同じ匂いがほのかにするんですよね。

高校時代、「集会委員長」という生徒会の役職についていたことがあります。
なんだかものすごい名前ですが、
いろいろな校内イベントを統括する集会委員会というのがあったんですね、母校には。
生徒会と聞いて想像するお堅い役職では一切なく、委員を務めていたのは、音楽好きな人たち。
というのも、この集会委員会のほぼ唯一にして最大の仕事というのが、
年に2回開催される「ミュージック・フェスティバル」という校内イベントの企画・運営だったからで。

校内のバンドやパフォーマーが10組ほど選ばれ、
舞台上でライブ・パフォーマンスをするという、わが高校の音楽フェスです。
母校にかつて在籍していた尾崎豊さんが出演したこともあるという、
30年くらいの歴史を誇るイベントなんですが、
その企画から、照明や美術など舞台演出に至るまで、
「裏方」と呼ばれる仕事を全部こなすのが集会委員会の仕事。

より舞台に上がっている人たちに輝いてほしい。
より舞台を観てくれる人たちの目を輝かせたい。
このバンドのいいところはどこなんだろう、
この曲は何を意味していて、どこが肝なんだろう。
必死になって考えて、いっちょ前にこだわりの強い演者とぶつかったり分かり合ったりを繰り返して、
本番当日、胃腸炎にもなるくらいにきりきり舞い。
それでも、照明に照らされてカッコよく演奏するパフォーマーたちや、
客席に咲いた笑顔、涙を見ると、その瞬間全てが報われました。
何かを必死に伝えようとして、みんなで形にして、
伝わった時に生まれる化学反応みたいな空気の変化。
その感覚が堪らなかったなぁ。

アナウンサーは決してスポットライトを浴びる側ではなくて、
主役を立てたりアシストしたりと、スポットライトを当てる側。
報道番組では、「主役」は、ニュースや取材対象者、ですね。
そうした意味では、当然スケール・ジャンルは違えど、
今の仕事と高校時代の経験には、通底するものがあります。
スタジオ裏のスペースにいると、自分は何のために、誰に向かって仕事をしているのかを、
改めて感じて、奮い立たされます。

先週は、このスペースでギリギリまで試行錯誤で作られた装置が、
本番中に壊れました。
ご覧いただいた方はびっくりされましたよね・・・。どうもすみません。
(放送後、装置を作った美術スタッフの女の子が、
泣き腫らした目でお手洗いから出てくるのを目撃して、
何とも切ない気持ちで抱きしめたくもなりましたさ・・・)
当然失敗だってたくさんありますが、
スタッフ皆、一生懸命、どう「主役」を引き立てるか、
どう、より「主役」に注目してもらえるかを考えながら日々、伝えています。
そんな熱がほのかに画面から伝わっていれば、嬉しいですね。
今日も頑張ります。

あ、イベントといえば。
明日、7月18日から、
「テレビ朝日・六本木ヒルズ
夏祭りSUMMER STATION」、
始まりますよ!!
今年も毛利庭園はビアガーデンと化して
皆様をお迎えいたしますぞ。

写真4 ()

ぜひ、お越しくださいね!

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